一方、9月ごろから市場で品薄になり始めるなかで、スーパー向けも11月までは出荷を続けた。その間は業務用同様、市場価格が高騰したときも、値上げしなかった。だが12月に入ると、成育の遅れが出始めたこともあり、今年1月まで出荷を止めた。それでも、スーパーからは「厳しいときに出し続けてくれたから、いいよ」と言われたという。

「9月10月と1月2月」

 ポイントは2つある。まず、なぜ業務用とスーパー向けで対応を分けたのか。答えは、業務用が柱という面もあるが、それ以上に相手側のビジネスの性質の違いが大きい。例えば、九条ネギをたくさん使うラーメンの場合、ネギがなければメニューそのものが成立しない。これに対し、スーパーは一部の野菜がなくても、店じたいは成り立つからだ。

 もっと重要なポイントは、売り上げの大半を占める業務用で、なぜ欠品を避けることができたかだ。雨天が多い時期に病気が発生するのを避けるため、防除など早めに手を打つなど、栽培面の努力は当然やった。それでも、契約農家のなかには対策がうまくいかず、収量が落ちたところもたくさんあった。

 答えは、栽培の中核である、こと京都本体が多めに生産し、契約農家の落ち込みをカバーしたことにある。これが同社の経営の核心部分にある。そうすることで、取引先との約束を確実に守る。とくに多めにつくるのは「9月10月と1月2月」という。

 「台風が来たり、雨が多かったり、リスクの高い時期は決まってるじゃないですか。バッファーがどれくらい必要かもわかってるんです」

 契約農家の栽培が順調なら、自社でつくったネギは余る。余った分は、以前は廃棄していた。相場任せにせず、契約栽培で売値をピン留めし、利益をコントロールしているから初めて可能になる戦略だ。最近は乾燥ネギにするなど、保存の効く形にすることで廃棄を減らしている。冷凍工場が完成したことで、今後は廃棄をさらに減らすことが可能になる。

ネギを様々に加工することで、付加価値を高めている

 ただし、経営規模のさらなる拡大を目指す同社にとって、自社だけ多めにつくってバッファーにする方法には限界がある。そこで、山田氏は契約農家にも多めにつくることを求めている。

 余った分は極力、こと京都で引き取る。問題は収量が予定より減ったときだ。こと京都グループとしてはレストランなどの取引先との約束を守れても、契約農家にとっては売り上げ減になる。こと京都グループへの売値は一定だからだ。一方で、品薄のために市場価格は高騰しているから、「市場に出せばよかった」と思う農家も出るだろう。