かつては有機農産物を宅配することに対して「消費者を甘やかすな」という批判があったそうですね。

 「日本という土壌で産まれた運動の性格なのかもしれませんが、『個人主義を助長する』と批判されました。秋田県の養鶏農家からタマゴを買っていたのですが、消費者の数が少なくて夏場にどーんと余ってしまったんです。農家に『捨てろ』とは言えませんから、カステラにしようと考えました。それでも余るのでマヨネーズをつくろうとしました」

 「これが消費者から批判されたんです。『若いお母さんを甘えさせるな。マヨネーズはタマゴと酢で自分でつくるべきで、大地を守る会はそういうことを言うべきだ』と。『タマゴを売っているのに、さらにマヨネーズまで売るのは、本当は金もうけが目的なんじゃないか』とも言われました。ことほどさようにみんな原理主義だったんです」

 「いまはマヨネーズの反対運動をやった人たちの子どもの世代が会員なので、そういう感覚はなくなりました。むしろオイシックスがやっているように、インターネットで自由に注文して買う層が増えています」

ネット活用、配送密度を高める

統合でどんな効果を見込んでいますか。

 「違うところが多すぎるほど、文化が違います。だからこそ、シナジー効果を出せると思っています。まず、大地を守る会は50~60代の消費者に強いのに対して、オイシックスは20~30代の若いお母さんに影響力があります。層が違うので、お互いに顧客を食い合う心配がありません」

 「いまの消費者はネットで買い物をします。大地を守る会もネットで集客したり、販売したりするよう努めてきました。それでも、オイシックスと比べれば3年かけても追いつけるかどうかわからないくらい技術に距離があります。この時間を短縮するために、オイシックスの力を活用させてもらいたいと思っています」

 「配達も統合でいろいろ工夫できる分野です。オイシックスは外部の運送会社を使ってやってきましたが、相手が運送料を大幅に上げるということが起きました。これは自分の力が及ばない要因によるコストアップです。一方、私どもは関東圏では自社の配送部門を持っています。これを共用することで、配送の密度を高めることも可能です」