意識は変わりましたか。

戸井:今のところ、もくろみ通り。これまでは6つの販社とコミュニケーションし、6つの販社がコメはコメ、青果は青果、ミートはミートだけという商売をやってきた。それでは、これだけ大きな規模をいかして販売できない。販売というのもあいまいな言葉で、モノを販売するだけではだめ。次の商売をやるための利益を稼ぎ、次のステップにもっていく。

 それを「営業」と言っている。相手に合わせてインフラを整備し、全農の県本部、JA、農業法人などどこと組んだら一番有利かを考え、その間にメーカーを入れたりする。そういうことを組み立てることができるようにするため、ここにこの部署を作った。

「接着剤の機能を果たしたい」

なぜ販売体制の組み替えが必要になったのですか。

戸井:食の外食化と中食化が進んでいて、中食のバイヤーだけでたくさんいる。バイヤーは1人でコメも卵も肉も野菜も扱ったりしている。「全農系のコメの販売会社です。コメを売りに来ました」「ところで、肉はどんなものがありますか」。そう相手に言われたとき、誰も答えることができない。だから、横で連携するために営業開発部を作った。ここだけで完結できないことは、たくさんある。でも、ここがきっかけになり、接着剤の機能を果たしたい。

 バリューチェーンを構築するために、相手の付加価値を聞かなければならない。今まではともすると産地の付加価値を聞いてはいたが、それがイコール実需が必要としている付加価値とは限らない。この間をつなぐ機能があることで、両方の付加価値がプラスになるかもしれない。

自己改革計画はコメや園芸作物で取引を見直す数値目標は掲げたが、それを実現するための方法論が不足していたのではないですか。

戸井:仏作って魂入らずで、実需の気持ちがわからないと、生産振興はできない。作る人の気持ちがわからないと、実需に伝えることができない。伝えられないままにやっていると、値段の話しか出てこない。

 「全農はお客さんに近づいて、マーケティングをしなければならない」という気持ちを、みんな持ち始めている。最初は小さなモデルでいい。それを「見える化」して、横に広げる。今、いろんな話が来ている。給食事業、介護商品、インターネットもある。大手企業だからと言って、大きな取り組みではないこともある。1つで1食食べることができる、ネットに合わせた即食型のキットを納品して欲しいという話もある。

全農の役割とは何でしょう。

戸井:大量に消費するための大量の生産物を産地で作ってもらうという形は今まで通りあるかもしれないし、それがないと困る。

 一方で、ヨーカ堂の「顔の見える野菜」は農協とやっていることもある。そういうふうに、園芸などはもっときめ細かくやっていくことになるだろうし、農協がそういう世界を作っていかなければならない時代に入っている。そういう生産者がJA全体を引っ張ってくれるかもしれない。今まで通り「全員一律」という世界だけではだんだんダメになる可能性がある。

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