モラルではなく原則

 消費者は聞かれれば「形にこだわらない」と答えるのに、実際は形のきれいな野菜を選ぶという指摘は重要だろう。

 最近、天候不順の影響で野菜の値段が高騰しているというニュースをよく見る。そこで、野菜が高すぎると嘆くコメントが紹介される。一方で、形の悪い野菜は値引きされてないと買いたくないという消費者心理がある。どちらも、生産者にとっては厳しい現実だ。

 そういう消費者を、道理を説いて変えるのは難しい。変化を可能にするのはモラルではなく、ビジネスの原則だ。付加価値をつけることで「曲がったニンジン」を商品化するこいくれないは、その突破口になることを目指す。

 こうした商品が増え、工業製品のように形が同じであることが、野菜の本来の価値ではないという認識が広まれば、農業の未来に新たな光が差すだろう。

新たな農の生きる道とは 『コメをやめる勇気

兼業農家の急減、止まらない高齢化――。再生のために減反廃止、農協改革などの農政転換が図られているが、コメを前提としていては問題解決は不可能だ。新たな農業の生きる道を、日経ビジネスオンライン『ニッポン農業生き残りのヒント』著者が正面から問う。

日本経済新聞出版社刊 2015年1月16日発売