積算温度の話が出ましたが、これまではどうやって収穫時期を決めていたのですか。

福永:「試し取り」です。とりあえず取ってみて、「まだ育ってないな」「もうちょっとだ」「もう取りどきだ」という感じで決めてます。

わざわざ積算温度を調べなくても、「試し取り」でもわかるし、たいしたロスにもならないのではないですか。

三原:オペレーション上の意味もありますが、バイヤーに価値を保証するという狙いもあります。成分と積算温度に相関関係があることがわかっています。なぜ去年と同じものができるのか、ロジックを組み立てることができるんです。毎年それをもとに計画を立ててます。

「ずっと言い続けています」

「規格」がキーワードになっていますが、大手スーパーのグループ会社の立場から見て、規格についてどう思いますか。

福永:僕らも規格の見直しに取り組み始めています。三原さんの指摘は、僕らが考えていることにマッチしています。これまでスーパーは規格を優先してきました。買う側にとって評価しやすいんです。鮮度はもちろん重要ですが、形がそろっていれば目利きの必要性が下がります。規格があるから、価格が決まる。ところが、今の世の中でそれが必要なことなのかと言うと、変わってきてると思います。

「曲がったニンジンではなぜダメなのか」という問いかけは、何十年も前からあります。

福永:消費者にアンケートすると、「大事なのは値段の安さではない」「大切なのは鮮度」「形にはこだわらない」と答えるでしょう。でも、いざ売り場で曲がった野菜と真っすぐな野菜を販売すると、やっぱり真っすぐなものを買っていくんです。「価格じゃない」と言っても、やっぱり価格なんです。それは仕方のないことなのかもしれませんが。

三原:「形がきれいなもの」と「安くておいしいけど、曲がったもの」はトレードオフの関係だったりします。それを消費者にわかってもらう必要があるんです。「成分を保証する」という新たな価値をつける分、形はトレードオフになるということを、世の中にメッセージとして伝えていかなければならないと思ってます。

 だから、ずっと「曲がってます」と言い続けてます。曲がっていてもいいなら、1袋198円で買うことができたりしますが、もし真っすぐなものだけにするなら300円になってしまうかもしれません。「曲がってないこいくれないはない」というくらい強いメッセージを発信していかなければならないと思ってます。「まっすぐなこいくれないありませんか」ということを言われないようブレーキをかける必要がある。だから、ブランド化するとき、自分たちで流通させる必要があると思ったんです。