イオン農場で作った「こいくれない」(茨城県牛久市のイオン農場)

 農業と食品流通の課題に「規格外の野菜をどう売るか」がある。味も品質も変わらないのに、曲がったキュウリやニンジンをスーパーなどの小売店が売りたがらなかったり、消費者が敬遠したりする。その分、農家が手にするお金も少なくなる。

 この積年の課題に挑戦しようとしているのが、ノーリツ鋼機の子会社のNKアグリ(和歌山市)とイオンの子会社のイオンアグリ創造(千葉市)だ。NKアグリが商標を持つニンジン「こいくれない」をイオンアグリが生産し、NKアグリが買い取ってスーパーなどに販売する。こいくれないは抗酸化作用が強いとされるリコピンを多く含んでいる点に特徴がある。

 なぜ多くのスーパーは「曲がったニンジン」を売ろうとしてこなかったのか。高リコピンのニンジンのこいくれないを武器に、両者は既存の流通の慣行をどう変えようとしているのか。NKアグリの三原洋一社長とイオンアグリ創造の福永庸明社長にインタビューした。

制御より予測が大事

NKアグリがこいくれないを扱うようになった経緯を教えてください。

三原:2009年に会社を作り、まず太陽光型の植物工場でレタスの生産を始めました。やっていく中で、3つのことに気づきました。

 1つは小売りの規格です。レタスは重さに規格がありますが、個食化が進んでいるので消費者は「もうちょっと小さくてもいい」と思っている可能性があります。「形はそろってなくてもいい」と考えているかもしれません。

 もう1つは周年の供給体制です。バイヤーが産地を回って買いつないでいますが、販売する時期に「はざま」ができてしまったりしています。消費者の「長い期間出して欲しい」という要望に応えきれていません。

 最後が環境を制御することの難しさです。データを見ながらやっていくと、出荷率などはよくなります。データはちゃんと取るべきです。でも、やればやるほど完全には制御できないことがわかりました。

 養液の肥料のバランスが悪くて、アブラムシが大量に発生したことがありました。人が手で取れる量ではありません。ところが、肥料の組成を変えて葉っぱが厚くなると、自然にアブラムシは消えました。コントロールするのではなく、「レタスはどう育ちたいのか」を考えるようになりました。それが分岐点です。

 そこで思ったのが、「環境を制御するのではなく、データを使って予測するほうに技術を持っていったほうが面白いのではないか」ということです。とくに、露地のほうが植物工場よりも制御しきれない部分が多いので、予測が大事になってくると思いました。そんなことを考えていたとき、こいくれないに出会ったんです。

「農業にはまってます。年々面白くなる」と話すNKアグリの三原洋一社長(茨城県牛久市のイオン農場)