洋風デザインにした直営レストラン(福島県白河市)

 レストランづくりの専門家ではなく、ふだんは経済事業や信用事業をやっている職員たちだ。だが、彼女たちの意見を取り入れ、レストランを洋風に設計しなおした。一方、コンサルタント料の見積もりはトータルで1000万円を超していたため、「とても払えない」ということで、途中で打ち切った。「話を聞いているうち、自分たちでできるんじゃないか」と思い始めたという。

田んぼに年間20万人

 結果はどうか。「長靴で入りにくい店になってもうしわけない」。組合員を前に、当時の組合長は冗談っぽくこう話した。地方色を前面に出さず、洗練されたデザインのレストランは、土日になると40~50分待たないと入れないほどの人気店になった。駐車場には他の地域のナンバーの車が並ぶ。

 まわりを田んぼに囲まれた閑散とした立地をみて、コンサルティング会社は「採算がとれるほど集客するのは難しい」と話していた。だが、直売所と合わせると年間の来店数は20万人を超えた。直売所の集客効果にひかれ、横に新たにドラッグストアができた。

 今回は回りくどい意義づけはいらないだろう。政府や政治が主導する改革論議に一定の意味はあるだろうが、農協が民間組織である以上、変革の芽は現場にこそある。その原動力は危機感をバネにした創意工夫だ。農家たちが農業の未来に危機感をいだき、農協を突き動かし、農協が全農を動かすようにならないと、どんな改革も一過性のもので終わる。

直売所の商圏は広域にわたる(福島県白河市)