米袋には農協の名前が前面に出ている(福島県白河市)

 JA東西しらかわは現在、政府備蓄や学校給食に回す分を除くと、この方式で販売している。ようは取り扱うコメのほぼ全量だ。では、どうして買い取り方式に移行することができたのか。

危機が生んだ好機

 変革のきっかけは、往々にして危機がもたらす。2003年、7月中旬以降の低温が響き、北海道や東北各県の稲作が深刻な打撃を受けた。コメが不足すれば当然、値段が急騰する。利にさとい集荷業者は農家に直接買いつけに行き、60キロ当たり2万円前後と全農の概算金よりずっと高い値段を提示した。

 指をくわえてみていれば、組合員のつくったコメが農協外に回る。「コメの流出を何としても食い止めよう」。危機感をいだいたJA東西しらかわは、概算金だけでは農家に不利と映る委託方式をやめ、年内に販売価格を確定させる買い取り方式への移行を決めた。このとき農家に払った金額は60キロで約2万円。集荷業者への対抗措置だった。

 意外に思われるかもしれないが、販売方法の見直しで、全農とのあいだにあつれきやしこりが残るようなことはなかった。JA東西しらかわの危機感を全農も理解したのだろう。念のためにふれておくと、コメ卸と並び、全農も農家から買い取ったコメの売り先の1つになっている。ただし、全農とのあいだも委託ではなく、買い取り方式だ。

 やればできると言うべきだろうか。だが、JA東西しらかわの幹部と話していると「うちのようにほぼ全量ではないかもしれなませんが、どの農協も大なり小なり買い取りをやってますよ」といったふうで、特別なことをやっているといった感じはなく、自然体だ。

 ちなみに、こういう気風の組織だから、新しいことに様々にチャレンジする。2013年にはレストラン併設の農産物直売所を開いた。もともとコンサルティング会社がつくった設計図は、レストランと直売所を同じつくりで一体化させていた。すると、女性職員のチームから異論が出た。

 「こんな和風の建物じゃ、いくら洋食を出しても、うどん屋にしかみえません。もし、このままつくるなら、チームをやめます」