倉庫に積まれたJA東西しらかわのコメ。売り先が決まっている(福島県白河市)

 そんなことを考えていたら、ある農協の幹部から言われた。「うちはコメはほとんど買い取り方式ですよ」。

 農協として初の本格的な植物工場を取材するため、東西しらかわ農業協同組合(JA東西しらかわ、福島県白河市)を訪ねたときのことだ。しかも、始めたのはもう10年以上も前のことだという。詳しく話を聞くため、あらためて白河市を訪ねた。

情報力とスピード感

 JA東西しらかわの買い取り方式を説明する前に、一般的なコメの販売方式を確認しておこう。代金の支払いがスタートするのは各年のコメの収穫期。農家がコメを出荷すると、全農が決めた概算金を農協が農家に振り込む。ただし、実際にコメが売れたわけではないので、これは確定値ではない。コメ卸などに販売した時点で販売価格と概算金の差額を計算し、農家に精算金をわたす。ここまでに1年以上かかることもある。

 これに対し、JA東西しらかわは新米が本格的に出回る前の9月ごろ、非農協系のコメの集荷業者の買い取り価格を調べ、農家や職員が集まって検討委員会を開く。「状況はどうなってる?」「今年はこんな感じだ」。相場の動向を確認し、10月ごろにコメを農家から買い取り、仮渡し金を払う。

 全農への委託販売と決定的に違うのは、このあとのスピード感だ。相場動向を再度確認するとともに、コメ卸などへの販売に見通しをたて、11月下旬ごろに検討委員会をもう1回開く。「このあたりの金額で落ち着かせよう」。農家にわたす代金を確定させると、すぐに追加金を払い、売買を完了させる。

 この方式を成立させるカギは、値決めの判断材料にするための情報力にある。JA東西しらかわの幹部は「アンテナを張る。県内外のコメ卸に営業に行き、足と耳で情報を集める」と話す。

 農家にとっては2つのメリットがある。まず、最終精算までに長いときで2年近くかかる委託販売と違い、年内に代金をすべて受け取ることができる。この意味は大きい。肥料や農薬などの生産コストを差し引き、どれだけ利益が出たのかを把握しやすくなるからだ。しかも、販売価格は非農協系の集荷業者に売ったときと比べて遜色ない水準に設定されている。