現地調達強化が奏功したネスレ

 そのような状況で、業績が好調なのがネスレだ。2014年にアフリカ事業が不振に陥り、人員削減と商品ラインナップの見直しを行うと発表したネスレは、世間にアフリカビジネスもこれまでかと衝撃を与えていた。それが、ナイジェリアについては、経済が悪化し始めた2015年において売上高で前年比6%増、純利益で7%増とむしろ回復を見せ、他の企業が最も苦しんだ2016年第1四半期でも、売上高で前年同期比31%増、純利益で126%増と一人勝ち状態となった。

 ネスレはナイジェリアでは、スープストックの「マギー」やシリアル、飲料の「ミロ」、「ネスカフェ」などを2つの工場で生産しており、それらの原料となる大豆やとうもろこし粉、カカオの現地調達比率を増やしてきた。現地に生産工場を持ち、原料の輸入依存率が低いネスレのビジネスモデルが、外貨不足により、需要があれども生産がままならない他社との競争の中で強みとなった形だ。作っていたからこそ、売れたのだ。

 4月にはナイジェリアの首都アブジャに56億ナイラ(約30億円)を投資し、新たに飲料水工場を稼働させた。ナイジェリア政府は工場に対する長期ローンをネスレに提供し、開設式にはブハリ大統領が参列した。

 アフリカ各国では、現地で製造する外資企業に対する政府の対応は明らかに違う。たとえばエチオピア政府は明確に、外貨を稼ぐ輸出業と現地で雇用を生む製造業を優先産業として定め、外貨の割り当てやインセンティブの供与などで優遇している。

 現地で製造業を行っていれば政府入札においても優遇を受けられる。サムスン電子がエチオピアでプリンターや冷蔵庫の工場を持っているのは、コストメリットの観点からではなく、優遇措置を受け、エチオピアで生産を行っている企業としてのポジションを政府や産業界のなかで保持するためだ。