途上国こそ現地生産

 「このような生産性の低さで、やっていけるのか」というのは、アフリカで工場を訪ねた際に思わず何度も聞いてしまった質問だ。年間の生産数量の少なさや、ワーカーの生産性をみていると、日本の工場とは雲泥の差がある。「いますぐ採算を合わせることは考えていない。でも、いま製造していることが、あとで効いてくるのです」というのがいつもの答えである。

 物流や港湾での困難があるアフリカにおいては、輸入によって需要に応じた供給を行うのはむしろ難度が高い。港湾の非効率や外貨の不足、為替の変動やディストリビューターの能力不足により、安定的に輸入ができないからだ。現地で原料調達から生産までを行え、状況に応じて自社で在庫を管理できる企業が強みを持ちうる。

 人口1億8000万人を抱え、アフリカの消費地として最も注目を集めるナイジェリア。折しも原油価格の急落により、経済が悪化している。輸出の大半を原油に頼っていたためドルの調達が非常に困難になり、原材料を海外から調達していた製造業や輸入産業のビジネスが、文字通り「ストップしている」状況だ。

原油の精製を他国に頼っているナイジェリアでは、外貨不足によりガソリン不足にも陥っている。ガソリンスタンドの半分は開店休業中で、開店していても6時間程度並ぶ。路辺にはガソリンを2~3倍の価格で転売する人たちがいる(ナイジェリアにて筆者撮影)

 ナイジェリアで製造業企業を訪ねて歩いてみると、2015年半ばから始まった外貨不足の影響は甚大だ。人口密度の高いナイジェリアはアフリカの中では消費地立地型の製造業がさかんな国だ。食料や飲料、日用品はおおむね国内で製造されている。しかし、その原材料はほぼ輸入で賄われている。

 リスクに備え原材料は平均して半年分ほどの在庫を持つ企業が多い。昨年いっぱいはなんとか在庫のやりくりで製造を続けられたものの、今年になってからはドルも入らず原材料も買えず、お手上げだという。工場を持たずに輸入により販売している企業はなおさら厳しい。どの企業も1ドルでも多く受け取れるよう銀行に日参し、時には、公式レートである1ドル=199ナイラに対して400ナイラ近くまで上昇することもある非公式レートでドルを入手し、原材料を調達している。人員削減も始まっており、地道なコスト削減や生産調整によって、なんとか生き延びている状態だ。