「アフリカなんかで製造して採算は合うの?」

 とはいえ、実際にエチオピア産の衣料を販売できるところまでこぎつけるには、長い時間がかかった。ストライプインターナショナルらと当社アフリカビジネスパートナーズがエチオピアでの衣料生産を検討し始めたのは2014年1月。2年半前のことだ。

 最初の会議での風景はいまでも目に浮かぶ。筆者がアフリカでの製造について説明を始めると、ずらりと並ぶ役職者から一斉にネガティブな反応が相次いだ。「アフリカなんかで製造して採算は合うの?」「アジアと比べれば、まだまだ先の話でしょ?」。

 実際、アフリカでの製造業は難しい。アフリカ各国の最低賃金は、エチオピアのような例外を除き、月100ドルを優に超える。ワーカーの生産性と技能レベルは高くない。電力、港湾、道路といったインフラが整っておらず、関税、外貨調達、許認可に関するルールが明確でない。

 十分な生産性が望めないことから、日本企業からはアフリカは製造業不毛の地とみなされてきた。日本人にとって「メード・イン・チャイナ」は当たり前になっているが、「メード・イン・ナイジェリア」や「メード・イン・タンザニア」と書かれた加工品を目にすることはほぼないはずだ。

 それでも、ストライプインターナショナルが最終的にエチオピアでの生産を決めたのは、これからのグローバル展開を見据えてのことだ。衣料は、自動車などに次いで、グローバルサプライチェーンにおいてアフリカが生産地として入り込めている数少ない製品。西アフリカからコットンが輸出され、中国やインドの資本集約的テキスタイル工場で生地になり、それがアフリカの労働集約的工場で衣料になり、アメリカやヨーロッパの市場で販売されている。