グローバル企業が世界規模でのロジスティクスを組み立てるに当たって、アフリカは地理的なハブにもなる。スペインまで船でわずか15分のモロッコは、新たな“欧州の工場”として、仏自動車メーカーを中心に投資が続いている。日本の自動車部品メーカーも従来の系列の枠を超え、モロッコ進出を急いでいる。

 ワイヤーハーネス世界大手の矢崎総業や住友電装は、エジプトやチュニジアに工場を持つ。物流コストが多くを占めるワイヤーハーネスの場合、アジアで調達した原料を加工し、欧州に供給する上で、アフリカには“地の利”があるという。

 ファーストリテイリング傘下のユニクロが、エチオピアでTシャツの試験生産を開始すると報じられているが、アパレル企業がアフリカに生産拠点を置くのは、アフリカで売るためでも日本で売るためでもない。米国と欧州で売るためなのだ。地理的な近さだけでなく、アフリカで作った衣料には「特恵関税」が適用できるのでコスト面でもメリットがある。海外売上高が国内売上高を上回りつつあるユニクロにとってもアフリカは、欧米市場へのドアを開き、アパレル業界で売上高世界3位のポジションを確固とするためのカギになっている。

ユニクロがエチオピアで生産を開始することを伝える現地の新聞。イケアのエチオピア進出と合わせて、外資系大手小売りの市場参入の動きを報じている

 世界で大手グローバル企業との競争に挑んでいる日本企業から、「アフリカは日本から遠い」という言葉は聞いたことがない。日本やアジアを中心に据えてそこからの距離で世界を測っているわけではないからだ。世界のプレーヤーの間では、日本のビジネスパーソンの多くが思い描くものとは全く異なる世界地図が広げられている。

【ポイント②】工業化するアフリカからの「ラブコール」を見逃すな

 日本企業の中で、グローバル企業に続いてアフリカ進出が早いのが、産業財や原料など、アフリカにある製造業を顧客とする企業だ。

 「アフリカビジネスに関する日本企業リスト」によると、「電気・電子・情報機器・重電」の業種では、32社がアフリカで事業を展開しており、そのほとんどが「BtoB」ビジネスである。具体的には、オムロン、キーエンス、ファナック、三菱電機、安川電機といった企業のファクトリーオートメーション機器・システムや、検査機器、パッケージ機器などが、アフリカの現地製造業向けに代理店を通じて売られている。

 アフリカの国々は、工業化の段階によって2つに分けられる。南アフリカ、エジプト、モロッコ、チュニジアといった世界に向けて工業製品を輸出できる国々と、ケニア、エチオピア、タンザニア、ナイジェリアといった国内供給のための基本的な製造業を営む国々だ。

 アフリカの工業化の歩みはゆっくりしている。保護政策をとれず、産業が育つ前に国内では安価な輸入品が幅を利かせ、輸出するにも後追いでグローバルなルールでの競争を強いられてきたからだ。

 ところが17年あたりから状況は変わりつつある。アフリカの工業化につながる分野への中国による投融資が目立って増えているのだ。食品や電化製品などの工場開設、輸出促進のための軽工業の技術移転、工業団地、製油所、農業・食糧自給、電力、再生エネルギーといった分野への投資などだ。これまで「アフリカに資源と食糧を取りに来ている」と揶揄され、「現地で雇用を生まない」と叩かれてきた中国が、明らかに方針を転換している。