プレオープンは招待客のみ。店員さんは招待客の出迎えに加えて、入店しようとする一般客にお詫びをするのにも忙しい。見たところでのお客さんの受けは上々、小諸そばサイドも手応えを感じているのでは。

 ところでY氏はどうしたのだ!? 現地集合後、共に入店することになっているのですが…。相変わらずだなあ。

 目立たないところでY氏を待つことにする。そっとウインドーを見ると

 「つゆへのこだわり」

 の文字が目に入った。文面には、「厳選した本枯節の厚削りを使用、香りと風味をいっぱいにひき出している」とある。

 小諸そばが目指しているのは、老舗が作るような辛いつゆ。ただしょっぱくなったのでは意味が無い。実現に必要なのは、旨味をとことんひき出した出汁で、それを作るのに欠かせない食材が「本枯節の厚削り」。

 ですが本枯厚削りは扱いが難しく、旨味を引き出すのに時間がかかり、しかも、お高い(涙)。よって、立ちそばではなかなか手の出せない素材なのですが、その「本枯節の厚削り」の出汁を、14日以上熟成させたかえしと合わせて旨いつゆづくりに挑み続けているのが、小諸そばなのであります。

え、真っ白なおそばじゃないの?

 ショーウインドー横の看板暖簾にも目をやる。そこにはおそばの写真に合わせて

 「お蕎麦へのこだわり」

 が書かれている。

 小諸そばといえば、お高い御膳粉(更級粉:そばの実の中心のでんぷん質の部分)を使って打つ高級な白いそばの「さらしなそば」を立ちそば価格で提供、業界に革命を起こし、発展してきた。だから御膳粉を使ったそばへのこだわりが書かれているのだろうと、期待しつつ、続く文面を見る。え、なにこれ!

 「ぬき実(玄そばから殻の部分を取り除いたもの)を丸ごと挽いた「挽きぐるみ」を使用。蕎麦独自の味、食感、風味をお楽しみいただけます」

 えええっ挽きぐるみ!? 御膳粉のさらしなそばじゃ、ないの!?

 のけぞりそうなほどに驚いていたそのとき、Y氏が現れました。

 それもそうですね。と入店すると横尾さんが登場。