利用者が使いやすい拠点を作る

北東アジアNo.1のLCCには、どのような過程を経て到達するのか。

井上CEO:これまでのピーチの道のりは平坦ではなく、どちらかといえばジグザグで、転びながらやってきた。次に何をするかと言えば、海外にベース(拠点)を置くはず。そこでチャレンジがあり、どこの国へ向かうかとなるだろう。その結果が、北東アジアNo.1だ。

海外のベースは台湾の台北なのか。

井上CEO:ベースの基準を何にするかだ。便数であれば、台北は関空と羽田、那覇、仙台、新千歳から飛んでおり、ベースと言える規模だ。そうではなく、いかに効率良くネットワークを組んで、「空飛ぶ電車」としての旅を、日本人にも訪日客にも実現したい。

 ここをベースにする、ではなくて、利用者が使いやすいベースを作っていきたい。

ANAホールディングスは今年2月にピーチを子会社化すると発表した。写真中央右がANAホールディングス社長の片野坂真哉氏
ANAホールディングスは今年2月にピーチを子会社化すると発表した。写真中央右がANAホールディングス社長の片野坂真哉氏

ANAホールディングス傘下になったことで、機材調達のスピードは速まるのか。

井上CEO:機材を増やすスピードは、パイロットをどれだけ採用できるかと密接にリンクしている。ANAもカツカツなので大量に出すのは難しい。

 ANAホールディングス傘下になったことによる採用競争力の向上は、これからだと思う。4期連続黒字と、ANAHD傘下なったことの相乗効果が、今後現れてくるだろう。


 航空会社の提携相手というと、自社が就航していない空港に乗り入れる航空会社など、同業他社になることが多い。しかし、LCCはコードシェアなどでコストがかさむことを嫌う傾向にあり、ピーチもほかの航空会社との連携には消極的だ。

 一方で、近ごろは自治体に対するアプローチに力を入れており、就航してすぐ撤退とならないよう、永続的な関係作りを重視しているようだ。

 従来とは異なるアプローチで新路線を増やすピーチ。今後は自治体や空港運営会社もこれまでの発想から離れ、単なる路線誘致ではなく本当の意味で地域が潤う関係作りが求められる。

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