地方の魅力に触れるには二次交通が不可欠
仙台の拠点化など、地方を見ていて感じることはあるか。
井上CEO:コンテンツが豊富なことに、みな気づいていない。では、どうすればその魅力に触れられるかという点では、空港から利用するバスなどの二次交通が不可欠だ。これを改善すると地方の観光はうまくいくだろう。
仙台在住のある方と話していたところ、彼は故郷の徳島に向かう際に、伊丹空港ではなく関空に向かうという。理由を聞くと、関空から南海電鉄で和歌山港に出れば、フェリーがあるからだそうだ。この区間は、南海が割引運賃を設定している。船が安くて便利という理由で関空を選んでいるということから、二次交通を整えれば、便利なところを選んで移動する人が増えることが分かる。

北海道では空港のコンセッションの話が進んでいる。二次交通の整備は、参加企業にも求めていきたい課題か。
井上CEO:求めたい。仙台空港を運営する東急グループと豊田通商は、近い感覚を持たれているので、割と話をしやすい。ぜひ北海道もそうなっていただきたい。
空港と航空会社だけで考える時代はもう終わっており、そこから先の毛細血管のような部分が大事。しかも、空港から直接行けることが重要だ。
二次交通の値付けも重要で、利用者が動くのは片道2000円以下だ。しかし、地方のバス会社は経営が厳しい。これは地方創生の予算などで、バス会社を補助すれば実現するのではないか。地方自治体には、これでお客さんが来るようになって、税金として自治体に返ってくると説明している。
つまり投資だ。1人1泊してくれれば、地元にお金が落ちるようになり、回収できる。東北の自治体では、理解していただけることが多い。
拠点化する新千歳からの道内路線も、成立するためには二次交通が重要ということか。
井上CEO:北海道は東北6県プラス新潟県の広さなので、二次交通がないことの深刻さは他県の比ではない。乗客が空港に着いても、ここから先の移動手段がなくては来てくれない。
道内のある市長さんから、空港をきれいにするというお話を伺ったが、その必要はまったくないと申し上げた。その予算で、空港発の直行バスを二次交通として整備してくださいとお願いした。
二次交通があれば、空港からどのくらいの時間で目的地に到着できるかなど、イメージできる。それだけでも違うと思う。
我々にとって飛ぶことが必要条件であるならば、十分条件は二次交通を整備していただきたいということ。そして、必要十分条件がそろえば、Win-Winの関係になると自治体には説明している。北海道はコンテンツがあるので、道内路線は乗客が増えると個人的には感じている。
うちが飛ばしておしまい、というだけにはしたくない。サステナブルな仕掛けにして、地域が潤うようにしたい。地方自治体とのアライアンスだ。
ピーチにとっては、アライアンスは航空会社ではなく自治体と組むものか。
井上CEO:そうだ。自治体や異業種と組む。往来が増えて自治体にお金が落ちていけば、自社のお客様として返ってくる。
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