地方間路線から電源充実させるJAL

 今後の国内線機材の方向性が見えてきたANA。対するJALはどうか。

 2014年5月28日に就航した国内線新仕様機「JAL SKY NEXT(JALスカイネクスト)」は、ファーストクラスとクラスJ、普通席のすべてを本革とした。ファーストは2007年12月のサービス開始当初から本革だったが、残る2クラスのシートは布地だった。

2007年12月から本革のシートを採用しているJALのファーストクラス
クラスJも現在は本革シートを用いている。材質などを工夫し、滑りづらくしている
「JAL SKY NEXT」シリーズでは、普通席の座り心地も格段に向上した

 新仕様機では、普通席のみ薄型の新シートを導入した。ファーストクラスはシート表面やクッション材の更新にとどめ、クラスJは布地から本革へ張り替え、クッション材を新しくした。航空機のシートは、フレームなど構造部分は機体と同程度の年数を使うことが出来るため、シート表面やクッションを工夫すれば、座り心地をある程度は改良できる。

 開発担当者によると、クラスJでは上質な革を使うなど、材質などの工夫で滑りにくくしたという。私は3クラスとも乗ったことがあるが、特にこれまで座り心地で気になったことはなかった。

 しかしながら、新仕様機登場の際、各席の電源については追加装備が見送られた。JALによると、機体により客室に供給可能な電源容量に違いがあることなども勘案して決めたという。

 実際、JALグループで地方間路線を運航する子会社「ジェイエア」が今年5月に就航させたエンブラエル190(E190)では、クラスJは15席(1列1席+2席)すべてに、普通席は80席(1列2席+2席)のうち、2席ずつ共用で電源コンセントを設置。JALグループの国内線機材では、初めての装備だ。

 ANAは、A321neoの普通席すべてにUSB端子を付けたが、ジェイエアのE190は2席で共用となるものの、ノートパソコンでも使える電源コンセントを選んだ。スマートフォンは出張族だけではなく、旅行で乗る人も機内で充電する可能性が高い。

 一方、電源コンセントがあれば、USBケーブルに変換アダプターを付けることでスマートフォンも充電できる。機内で充電するニーズが低い路線であれば、どちらにも対応できるコンセントの方が良いだろう。

 JALは2019年から、ボーイング777の後継としてエアバスA350 XWBを就航させ、6年程度で置き換える計画。最初の機体は国内線仕様となる見込みで、電源コンセントや充電用USB端子は上級クラスには全席に装備するだろう。

 普通席はUSB端子のみ全席に装備するのか、はたまた電源コンセントを2席程度ずつ設けるのか、今後のニーズを読み誤らずに決定してほしいものだ。

 国内の他社を見ると、普通席のみのスカイマークとスターフライヤーは、全席に電源コンセントを備えている。スターフライヤーの新しい機材では、USB端子も全席に装備しているほどだ(詳細は「国内線の機内で充電できる航空会社は?」)。

 国内線はフライト時間が短く、航空会社は差別化に知恵を絞っている。例えばJALが、2014年7月から国内線で機内インターネット接続サービス「スカイWi-Fi」を始めた際、ANAの幹部の中には「どの程度の人が利用するのか」と、懐疑的な見方をする人もいた。

 しかし、15分間は無料で利用できるキャンペーンを実施し、料金を払わなくてもテレビドラマなどが見られることを周知し続けた結果、近ごろ機内を見渡すと、ネットにつなげたり、テレビドラマを見たりしている人を見かけるようになった。私の知人の中にも、ネットに接続できるという理由だけで、利用する航空会社を変えた人もいた。確かにこれは乗客全員に必須なサービスではない。けれども、ネット接続が可能かどうかは、この先、航空会社を選ぶ大きな基準となりそうだ。

 東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年を控え、ANAとJAL両社の国内線に新機材が導入される。一度導入されれば、10年近くは客室仕様が大きく変わることはないため、次の10年を見据えた客室に期待したい。