筆者がかねて多用する伊丹で最近、そのことを痛感させられる出来事が増えている。リニューアル前より不便になったと感じるのだ。

 例えば空港から梅田行きのリムジンバスに乗ろうとした際、到着口が中央に集約されたことで、左右にある階段のどちらを降りれば梅田行き乗り場に近いのかが、直感的に分かりにくくなった。

 確かに、到着口を出てバス乗り場へ向かうまでに案内表示の看板などがないわけではないが、商業施設ばかりが目に付き、相対的に目立たなくなってしまった。ターミナル改修の経緯を知る関係者は、「当初の改修案では、バスなど二次交通について、到着口周辺でわかりやすく案内する計画だった。民営化後、商業施設があふれかえる計画になってしまった」と打ち明ける。

 そして、大阪の梅田駅などから空港へ向かうリムジンバスの乗り場についても、利便性に関わる変化があった。関空と伊丹のどちらへ向かうかに関わらず、バスの案内表示などが同じデザインや色調で統一されたのだ。

 民営化前、バスの案内表示は行き先によって「水色の関空、黄緑色の伊丹」とはっきり色分けされていた。このため「伊丹に行くには黄緑色」と一目で分かるようになっていた。バス乗り場ではわかりやすく、どちらの空港に行くか迷う外国人旅行者にも、色で説明することもできたのだが。

 確かに、各空港を示す文字のデザインや色などを統一することでブランドを高めたい、というKAPの方針も理解できる。しかし、空港という通過点を利用する人にとっては、直感的に分かりやすいことの方がより重要なはずだ。バスの誤乗を色分けによって防ぐといった気配りは、地味ながらも効果が期待できるものだ。

 たかがデザイン、されどデザイン。利用者に寄り添うような工夫を積み重ねていかなければ、空港のブランドを地層のように築き上げることは難しいのではないだろうか。

ノウハウある割に外部コンサル起用

 こうした変化は、働く社員のモチベーションにも影を落としている。今年で3年目に入ったKAPは、夏にボーナスが初めて支給された。これを機に、KAPを離れるという声が社員から漏れ伝わってきており、航空会社や関係企業は「ノウハウを持った人材が流出してしまうのではないか」(航空会社幹部)と危惧する。

 KAPの関係者によると、民営化後は毎月2~3人程度は退職しているといい、ボーナス支給を契機にこの気運が高まっているという。これに対し、KAPは外部のコンサルタントを起用し、社員満足度の向上に取り組んでいるというが、前述の航空会社幹部は「空港運営のノウハウがあるという割に、外部コンサルばかり使っているのでは、ノウハウを持っていないのと同じではないか」と、首をかしげる。この幹部によると、外部コンサルを起用しているのは、空港運営という本業にかかわることも含まれるという。

関空第1ターミナルから出発する国際線出発初便のANAの上海行きNH973便
関空第1ターミナルから出発する国際線出発初便のANAの上海行きNH973便