空港が所在する自治体の幹部から聞いた、この話が印象的だった。「自治体は逃げられないんですよ。空港から航空会社が撤退してしまったら、都市としてのプレゼンスが下がってしまい、一度下がったものを戻すのは非常に難しく、さまざまな問題に飛び火する。だから支え続けなければならない。空港民営化の動きを見ていると、運営会社にその覚悟があるのか」

 航空会社も、地震などの天災に見舞われても、運航を維持しなければならないなど、社会から常に高い公共性が求められている。そうした企業や自治体の立場では、「経営難に陥れば将来の運営撤退を視野に入れるような企業と、よいパートナーシップを築くのは難しい」と考えるのは自然なことだろう。

暫定運用が始まった関空第1ターミナル国際線南側エリア
暫定運用が始まった関空第1ターミナル国際線南側エリア

 そして今回の台風21号による被害では、KAP経営陣は有効な早期復旧策を打ち出せなかった。運営権を売却したはずの国がしびれを切らし、復旧計画の大枠を裏で描く形になってしまった。国土交通省が職員5人を派遣して以降、「復旧作業が加速し、計画全体を見通せるようになった」(航空会社幹部)という。

利便性よりブランディングを優先

 大阪万博開幕を控えた1969年に開業し、現在は2020年の全面刷新を目指して改修工事が進む伊丹空港。今年4月18日に、ターミナル中央エリアがリニューアルオープンした。これまで南北に分かれていた到着口を中央1カ所に集約し、商業エリアには世界初となる空港内ワイン醸造所を併設したレストランや、関西の有名店などが出店した。

 民営化というと、こうした商業施設のリニューアルや、LCC(低コスト航空会社)の誘致が目玉となる。運営事業者を選定するコンペに提案される書類でも、ターミナル改修は提案事項の上位に据えられることが多い。

 しかし、空港の本来の役目は、言うまでもなく発着便の玄関口であることだ。地域の名店を揃えることも大事だが、空港に到着した乗客が迷わずに空港から都心部へ出たり、都心部から空港までスムーズに到着したりできるかどうかも、空港としての重要な資質と言える。

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