この夏、旅行にLCC(格安航空会社)を活用した人もいるのではないだろうか。多くのLCCが、このお盆休み期間中の搭乗率は9割を上回り、好調だった。
就航当初は、大手航空会社の手厚いサービスに慣れた日本人に、価格は安いけれども簡素なサービスのLCCが、受け入れられるのかと懐疑的な見方が多かった。LCCではギリギリの機材数で運航しているため、遅延が発生する可能性も高い。国内の航空会社は定時性が世界水準より高いことも、LCCに厳しい視線が注がれた理由のひとつだ。

しかし、フタを開けてみれば、就航1年目の2012年のお盆休みから、LCCは好調だった。当時は同年3月就航のピーチ・アビエーション、7月就航のジェットスター・ジャパン、8月就航のエアアジア・ジャパン(現バニラエア)の3社だったが、いずれも搭乗率は9割前後を記録した。
経営不振に陥ったエアアジア・ジャパンはその後、出資するアジア最大のLCCであるマレーシアのエアアジアと、ANAを傘下に持つANAホールディングスとの間で経営方針の食い違いによって、2013年6月に合弁を解消。同年12月にバニラエアとして再出発した。

そして、2014年8月には中国最大のLCCである春秋航空が春秋航空日本を就航させ、現在の4社体制になった。一度日本から撤退したエアアジアも、楽天などの出資により新生エアアジア・ジャパンとして再スタートを目指している。
繁忙期の搭乗率が好調な一方、収益面を見ると現実は厳しい。就航から3年以内に黒字化したのはピーチとバニラの2社だけ。ピーチは既に3期連続黒字を達成しており、国内LCCでは勝ち組のポジションを固めつつある。
一方、国内最大のネットワークを誇るジェットスター・ジャパンは、4期目となる2016年6月期に初の通期黒字を達成。春秋航空日本は8月20日から成田~札幌線を開設したことで、自社の成田~佐賀線や親会社である春秋航空の上海~札幌線、上海~佐賀線と組み合わせ、日本縦断ツアーで巻き返しを狙う。
低価格運賃を売りとするLCCだが、利益を出すためにはどこかで儲けなければならない。その手立ての一つが付帯収入だ。機内食や機内販売はもちろんのこと、大手では運賃に含まれている受託手荷物の料金も、貴重な収入源となる。国内LCCは今、どのように付帯収入を捉えているのだろうか。
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