ジャンボの主力は貨物型

 旅客機の市場は大別すると2つある。座席数が100席以上の市場と、100席未満の市場だ。後者は三菱航空機が開発中の「MRJ」のような、リージョナル機と呼ばれる分野で、地方と地方を結ぶ比較的距離が短い路線に投入される。

 一方、世界2強のボーイングとエアバスが製造しているのは、100席以上の旅客機だ。ボーイングであれば737、エアバスはA320が小型機に分類され、120席から200席程度の席数になる。ボーイング767などの中型機が300席前後、ボーイング777などの大型機が400席から500席となる。

 これが787の場合、標準型の787-8であれば300席クラスだが、胴体を6メートル延長した787-9は400席クラスと、従来であれば中型機と大型機で別の機種だったものが、同じシリーズのサイズ違いで作られるようになった。ボーイングでは、さらに胴体を延長した787シリーズ最大の787-10も開発中だ。

 大型機を上回るのが超大型機となる747やA380で、A380は4クラスで544席、エコノミークラスだけを並べれば853席にもなる。

 747の場合、現在製造されているのは新型エンジンや新設計の主翼を採用した、747-8と呼ばれるモデルだ。旅客型と貨物型があるが、125機の受注のうち貨物型が74機と半数以上を占める。

 747-8の前世代にあたり、1988年に初飛行した747-400の場合、旅客型が467機、貨物型が166機、客貨混載型が61機。747-8の総受注125機という数字は、いかに少ないかがわかるだろう。しかも、受注の大半が貨物機だ。

 かつては100機以上の747を保有していたJALも、2014年3月に国内最後の旅客型747を退役させたANAも、共に777を後継機として導入。日本の航空会社で747-8を運航しているのは、貨物型を10機発注済みの日本貨物航空(NCA)のみだ。

旅客機ではみかけなくなったジャンボも、貨物機ではまだ活躍している

 7月末現在の受注残は、旅客型と貨物型各10機ずつの20機。ファンボロー航空ショー期間中に、ロシアのヴォルガ・ドニエプルグループが貨物型を20機追加受注する意向を表明し、3カ月ぶりの受注を獲得できる見通しが立った。また、米空軍が2015年1月28日に、次期大統領専用機として747-8をベースにした機体を導入すると発表している。

 冒頭で述べたように、ボーイングは747の生産レートを9月から月産0.5機に落とす。このまま受注が獲得できない場合、6年程度で受注残を消化してしまうことになる。

 なぜここまで受注が落ち込んだかと言えば、エンジンが4基という燃費の問題だけではない。乗客が多頻度運航を好むようになった今、これまでのような一度に大量輸送する機材の必要性が低下したからだ。さらにジャンボの場合、現在の主力が貨物型なので、航空貨物の需要落ち込みも減産要因になっている。

 対するA380は、全日本空輸(ANA/NH)を傘下に持つANAホールディングスが、2019年から首都圏とホノルルを結ぶ路線に3機投入する。不振が続くA380にとっては、久々の受注となったが、それでA380の販売が好転したわけではない。

 エアバスでは今年1月に2015年の納入実績を発表した際、A380は機体として損益分岐点を越えたとしている。現在18社から319機受注しており、このうち半数近い142機をエミレーツ航空が発注している。

 仮に現在の受注残126機を、2015年の納入機数である27機で毎年引き渡した場合、約4年半で完納してしまう。月産1機のペースで毎年12機ずつ引き渡せば、約10年製造ラインを維持できることになる。