航空産業が深く根付く英国

 企業や政府の取り組み以外にも、航空業界に必要不可欠な人材育成について本気で若年層をひきつけたいのか、海外の航空ショーを取材していると疑問に感じることもあった。

 例えばファンボロー航空ショーの一般開放日は15歳以下の子供は無料になる。トレードデーも機体メーカーが子供を招待し、航空業界に関心を持ってもらえるような努力を重ねている。目の前で飛行機が飛び、機体の部品などが展示されていれば、航空業界に夢や希望を抱く子供もいるはずだ。

 これらの対応は、何も飛行機好きを喜ばせているわけではない。狙いは長期的な人材の育成にある。子供の頃から飛行機に魅了させて、航空産業の担い手を作ることが、文化として根付いている、と言えるだろう。

 最寄り駅から会場となる空港までの道路も、仮設の標識を多数設置し、住民も来場者もスムーズに往来出来るよう工夫がみられる。

 日本でも、航空会社などが航空教室を開いている。だが航空ショーのように定期的なものではない場合が多く、参加できる人数も限られている。現状で、子供たちが航空産業に関心を持つ接点は空港にほとんど限られている。実際、パイロットや整備士、客室乗務員、地上係員には空港で飛行機を見ているうちに、空の仕事を目指すようになったと話す人が多い。ところが、伊丹空港をはじめ、安全対策を理由に眺めを悪くする改修工事を計画する空港もある。

 歴史ある航空産業を擁する英国は、単に長く産業が続いているのではない。社会が人を育てて継承しているのだと、ファンボロー航空ショーを訪れて改めて感じた。一方、日本で現在のような状況が続けば、たちまち航空後退国に転じてしまうだろう。C-2やUS-2といった、海外から注目を集める機体を作り出した今こそ、成長産業としてヒトとモノを長期的に育てる環境作りが求められているのではないだろうか。