世界最大規模の航空ショー「パリ航空ショー」が、6月19日からパリ郊外のル・ブルジェ空港で開かれた。日本からの国際線も乗り入れるシャルル・ド・ゴール空港に近い同空港は、普段はビジネスジェットが主に離着陸している。
その空港全体が2年に一度、航空ショーの会場となり、世界各国から多くの航空関係者や政府要人らが訪れるのだ。
米ボーイングや欧エアバスなどの機体メーカーは、年間を通じて大きな発表を、奇数年はパリで、偶数年はロンドン近郊で開かれるファンボロー航空ショーで発表する。
近年はボーイングの次世代大型機777Xのように、大口顧客が多い中東で開かれるドバイ航空ショーで開発が発表されることもあるが、やはり2大航空ショーの存在感は別格だ。
特に今年のパリ航空ショーは、日本企業が大きな注目を集めた。
三菱重工業の子会社である三菱航空機が開発するリージョナルジェット機「MRJ」の実機が初めて出展されたほか、海上自衛隊の哨戒機「P-1」も、自衛隊機として初参加したからだ。
航空ショーは各国の軍関係者も視察に訪れるので、軍用機をはじめとする防衛・宇宙分野の商談も盛んに行われる。

ただ日本の国情として、すぐに自衛隊機を輸出することは難しい。
今回は世界最大規模の航空ショーに出展することで実機を見てもらい、諸外国に将来導入を検討してもらう布石とする、といった段階だ。
一方、MRJはそんな悠長なことを言っていられる段階ではなくなっている。
世界のリージョナルジェット機市場のうち、約半数のシェアを握るブラジルのエンブラエルが次世代機「E2シリーズ」の開発を着々と進めているからだ。
今年の航空ショーで実機を出展できるか否かは、これまで以上に潜在顧客となっている航空会社やリース会社への印象に、大きく影響を与える。
背水の陣とも言える状況の中、MRJのローンチカスタマーである全日本空輸(ANA)のカラーリングをまとった飛行試験3号機が、パリ航空ショーに出展された。
MRJの開発は、2016年11月から三菱重工の宮永俊一社長直轄となり、グループ全体で取り組んでいることを明確にした。
そして、パリ航空ショー開催前日の6月18日、宮永社長は三菱航空機の水谷久和社長、ANAを傘下に持つ持株会社ANAホールディングスの篠辺修副会長とともに、MRJを世界の報道関係者に向けてお披露目した。

ライバルのエンブラエルも次世代機の実機「E195-E2」を出展し、飛行性能の良さをフライトディスプレー(飛行展示)で示したパリ航空ショー。
果たして三菱重工や三菱航空機の思惑通り、リージョナルジェット機市場の2強に食い込めるのだろうか。
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