幅広胴体で快適性訴求

 エアバスは当初、A350を中型機A330の発展型として開発する計画だった。しかしながら、A330と比べて新味に欠けるなど航空会社やリース会社の受けが悪く、全面的に設計を見直した現在の「A350 XWB」と呼ばれる機体が、2006年12月に開発発表された。

 A350 XWBは競合機種のひとつであるボーイング787と比べ、胴体の幅が約13センチ広い。この特性を生かし、1列9席配列の場合、787の座席幅が17インチ(43センチ)なのに対してA350 XWBは18インチ(46センチ)と広い。同じ座席数でも、特に狭さが課題となるエコノミークラスの快適性で差をつけようというものだ。

 機体サイズは現在3種類あり、短胴型のA350-800(3クラス標準280席)、標準型のA350-900(同325席)、長胴型のA350-1000(同366席)となっている。このうち、A350-800は座席数から見ると中型機のA330と大差がない。

 実際、3種類の中でA350-800の受注は伸び悩んだ。4月末時点でA350 XWBは世界42社から798機受注。内訳を見ると、A350-900が全体の75%を占める601機で、A350-1000が23%の181機、A350-800はわずか2%にあたる16機に過ぎない。

 そこでエアバスは、新型エンジンやA350 XWBと同等の内装を取り入れたA330の後継機A330neoを、2014年7月に開発発表した。A350-800の役割を、A330neoに担わせるわけだ。

 過去の受注実績をさかのぼると、A350-800の受注は2011年末には118機あったが、2012年末に92機、2013年末に56機、2014年末に16機と減少。現在の16機はアエロフロート・ロシア航空とアシアナ航空の2社が8機ずつ発注したものだけだ。

 エアバスはA350-800を発注した顧客に対し、A350-900やA330neoへの変更を提案してきた。これが、受注数が年々減っていった理由の一つだ。今となっては、わずか2社が16機しか発注していない機体を、果たしてエアバスは開発するのだろうか。

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