日本の航空機産業は、米国とのつながりをなくして語ることができない。

 全日本空輸(ANA)がローンチカスタマーとなったボーイング787型機は、機体の構造部位のうち、主翼など35%を日本企業が製造している。次世代大型機の777Xは、現行機777と同じ21%を分担する。777Xが787と同等の数字にならなかったのは、ボーイング側の労使問題もあり、主翼を米国で製造することになったためだ。

 国内の航空機産業育成という観点だけではなく、対米関係もあって日本の航空会社はボーイング機を選定することが多かった。しかし、2010年に日本航空(JAL)が経営破綻し、航空機の調達も、まずボーイングありきという姿勢から、マルチソース(複数の調達先)へ変わってきた。

 前回の連載(「ピーク時の需要を“捨てる”ANAとJAL」)で触れたように、ジャンボことボーイング747型機を多用していた日本は、実質的な後継となるエンジンが双発の大型機777を、国内線と国際線に導入していく。そして、777の後継機選びではANAがボーイングの次世代機777X、JALがエアバスの最新鋭機A350 XWBを選んだ。

JALは次世代機として、エアバスの最新鋭機A350 XWBを選んだ(撮影:吉川 忠行、他も同じ)

 ANAもJALも、会社の顔とも言える長距離国際線には、777の航続距離延長型である「777-300ER」という機体を投入している。日本の次期政府専用機にも選定された機体で、座席数はANAが264席(ファースト8席、ビジネス52席、プレミアムエコノミー24席、エコノミー180席)、JALが244席(ファースト8席、ビジネス49席、プレミアムエコノミー40席、エコノミー147席)と、250席前後のレイアウトだ。世界的に見ても、各社の花形路線はこの777-300ERが飛んでいる。

 ANAの後継機777-9Xは、3クラスのメーカー標準座席数が約400席で、JALが導入するA350の長胴型A350-1000は366席。777-300ERの標準座席数は3クラス365席なので、これを基準とすると777-9Xは約10%席を増やせ、A350-1000は同等と言える。

 国際線で華のある飛行機と言えば、ジャンボの最新型747-8や、エアバスの総2階建て超大型機A380を思い浮かべる人もいるだろう。しかし、エンジンが4基あるこれらの機体は、原油価格の高騰後は特殊な機材になった。次の10年を担う長距離国際線の機材となると、エンジンが2基の777XやA350が経済性の観点で選ばれている。

 LCC(格安航空会社)が運航するボーイング737やエアバスA320といった小型機と比べて、長距離国際線用の機材は市場が小さい。しかし1機あたりの価格を比べると、価格表ベースで3倍程度違う。市場規模が小さいとは言え、777-300ERの後継機需要は約1000機あると言われており、単純計算で小型機3000機分のビジネスと言える。

 運航する航空会社だけではなく、機体メーカーにとっても顔と言える大型機。A350を手掛けるエアバスは、ひっそりとラインナップの見直しを進め、現在は777-300ERが一人勝ちの市場で勝負をかける。エアバスはどのように攻めるのだろうか。