「損して得取れ」

 500席前後の機材であれば、仮に200人の修学旅行生が乗ったとしても、300席は一般向けに販売できる。ANAとJALの中型機は300席前後なので、中型機の乗客プラス団体客を乗せられるのが500席クラスの大型機と言えるだろう。

 しかし、修学旅行生が利用する時期と路線は限られている。需要のピーク時に合わせて機材をそろえるよりも、中型機を多頻度で飛ばす方が搭乗率は高くなり、経営効率は良くなる。小型化で乗せられなくなる団体客については、修学旅行ならば新幹線のように複数校が乗る臨時便を出す方法もある。

 ANAもJALも、今後導入する国内線用機材は、最大でも430席程度になりそうだ。現状と比べて定員が15%程度減ることになるが、両社の搭乗率が70%弱である現状を考えると、機材の定員が今より減っても、搭乗率は80%程度。需要のピーク時には航空券が取れなくなる可能性はあるものの、1年を平均すれば、海外の航空会社と同等のレベルになる。機会ロスが生まれるという点では損なのだが、全体的な需給適合ができて経営合理性は高くなる、つまり得をするというわけだ。

 マイレージによる特典航空券などの無償客を考慮すると、有償客の搭乗率の上限は85%程度だろう。コンスタントに80%台の搭乗率が出るようになれば、乗客にとっては機内が混雑していると感じるが、航空会社側から見れば健全経営と言える。

 ジャンボ全盛時代とは打って変わり、機材の小型化が進む日本の国内線。大手2社も機内が混雑していれば、LCC(格安航空会社)と大差ないと感じる人が出てきてもおかしくない。

 首都圏の場合、LCCの国内線は成田空港のみなので利便性にはまだまだ差があるものの、プライベートの旅行で乗るなら安い方が良いという人も多いだろう。そして、スカイマークやスターフライヤーのような中堅航空会社であれば、大手よりも安い上に、羽田に乗り入れている。同じ混雑度合いなら、大手2社よりも運賃が安い航空会社を選ぶ人もいるのではないか。

 大型機から小型機へシフトする日本の国内線。航空会社が経営効率を改善するだけではなく、利用者にとっては、従来乗らなかった中堅航空会社やLCCに興味を持つきっかけになるかもしれない。