ANAビジネスジェットの全容は?

 ANAが運航する通常型の737-700は、国際線仕様で2クラス120席(ビジネス8席、エコノミー112席)。メーカー仕様では最大1クラス149席までレイアウトできるので、前出のカタール航空が運航するA319とほぼ同じサイズの機体だ。

 2機あったANAのビジネスジェットは、1機ごとに仕様が異なっていた。2007年3月25日に新設した中部~広州線に投入された初号機は、2クラス44席(ビジネス24席、エコノミー20席、退役時)。同年9月1日の成田~ムンバイ線開設時に就航した2号機は、当時は珍しい全38席がビジネスクラスで登場した。

 機体の塗装も、就航時は2機とも「ANA BusinessJet」と大きく描かれた特別塗装で、違いをアピール。成田~ムンバイ線は約11時間のフライトになることから、燃料を1.5倍積めるよう貨物室にタンクを増設したことも特徴だった。

 前方化粧室には窓が2つあり、こうした配慮もビジネスジェットらしいと言えるだろう。ANAは2011年に最新鋭機ボーイング787型機が就航した際、ビジネスクラスの化粧室に窓があることをアピールしていたが、実はその4年前に、自社の機体で同様の設備を備えていたのだ。

窓のある化粧室も売りの1つだった
機内はさすがに古さを感じるが、空間はゆったりとしている
座席の前後の間隔も広い

 機内を見渡すと、さすがに10年近く前の機体であるため古さを感じる。1列2席-2席で配された革張りの座席は、シートピッチは最大61インチ(約155cm)と広いものの、フルフラットにはならない。頭上の手荷物収納棚も現行の大型タイプではないため、キャリーバッグのような荷物はしまいにくい。

 現在のビジネスクラスでは、個人用モニターも20インチ前後と大型化した。しかし、この機体ではゲーム機のようなポータブルメディアプレーヤーが使われていた。

 全席通路アクセスが標準となりつつあるビジネスクラスに見慣れていると、どうしても古さが気になってしまう。けれど各席にパーティションなどを設けていないこともあって、室内は広々としているのが印象的だ。

 乗客数も行き先がムンバイとあっては、大混雑というわけでもなく、客室乗務員もゆとりを持った接客がしやすかったという。雰囲気やサービスといった面で、ビジネスジェット感覚の機材だったと言えるだろう。

 最終便が成田~ムンバイ線となったANAのビジネスジェットだが、2012年10月に成田~ヤンゴン線が就航した際にも、全席ビジネスの2号機が使われた。

 ヤンゴン線は需要が増加したことや、法人の視察旅行やツアー客からエコノミークラスを求める声があったこともあり、約1年後にはボーイング767-300ER(202席:ビジネス35席、エコノミー167席)へ大型化。月曜と水曜、土曜の週3往復から毎日運航に増便した。まずは飛ばして需要を掘り起こすような使われ方もされていたのだ。

 ビジネスジェットが退役した現在、ANAは成田~ムンバイ線を座席数が約4倍のボーイング787-8型機(169席:ビジネス46席、プレミアムエコノミー21席、エコノミー102席)で運航している。ビジネスクラスは全席が通路に面した「スタッガード配列」のフルフラットシートにグレードアップした。

 ANAが保有する機材のうち、航続距離が1万km前後とムンバイへ飛べて、座席数がもっとも少ない国際線用機材が、169席仕様の787-8なのだ。