海外では、ビジネスクラスだけで構成する旅客機を運航する航空会社がある。

 例えば、中東のカタール航空は拠点のドーハからロンドンに、小型機のエアバスA319型機をオール・ビジネスクラスで飛ばしている。最大156席仕様にできるA319をビジネスクラスだけの40席として、シートはフルフラットになっている。小さな機体ながらも、設備の豪華さや座席の広さは、長距離路線を飛ぶ大型機と大差ないものにしている。

 これはいかにも中東らしい機体だが、実は日本でも同じような機体が2007年から今年3月まで飛んでいた。全日本空輸(ANA)が成田~ムンバイ線などで運航していたボーイング737-700ER型機「ANA BusinessJet(ANAビジネスジェット)」だ。

機体に「ANA Business Jet」と描かれたオールビジネスジェットがひっそりと姿を消した(撮影:吉川 忠行、ほかも同じ)

 機種名の「ER」は航続距離延長型(Extended Range)を意味するもので、片道10時間以上飛べる。ANAは通常型の737-700も保有しており、近距離国際線に投入している。

 ビジネスクラスに特化したこの機内は約40席で、通常型と比べて約3分の1の座席数だ。残念ながらこの機体の後継機はなく、運航最終日はセレモニーも開かれず、ひっそりと退役した。

 商業的にも成功したとは言えないが、全席ビジネスクラスで運航するというチャレンジングなアイデアは、航空会社が高付加価値化を進めていくに当たって何かのヒントがあるはずだ。

 日本にたった2機しかなかった機体を振り返りながら、上級クラスのあり方を考えてみよう。