小型機の受注競争ではエアバスがリード

 エアバスのA320neoとA321neoは、A320とA321のエンジン換装型で、新型エンジンと翼端をそり上げた「シャークレット」により、燃費を15%向上している。国内ではANAが最初の運航会社となる。

 エンジンは2機種から選定できるが、ANAが選んだのはいずれも米プラット・アンド・ホイットニー製のPW1100G-JM。国産初のリージョナルジェット機となる三菱航空機のMRJに搭載されるエンジンと同系列のもので、低燃費と低騒音が売りだ。

 PW1100G-JMは財団法人日本航空機エンジン協会(JAEC)と独MTUアエロエンジンズによる国際共同事業で、JAECには三菱重工業と川崎重工業、IHIが参画しており、JAECが全体の23%を担当している。型番の“J”はJAEC、“M”はMTUを指すものだ。MRJよりもひと足早く、日本の技術を生かした低燃費エンジンを採用した機体が飛ぶようになる。

 低燃費を売りにする次世代小型機については、A320neoの開発を2010年12月に決定したことでエアバスが先行。既にA320neoシリーズは世界各国の航空会社から4500機以上の受注を獲得している。

 ライバルのボーイングは2011年8月に737 MAXの開発を決定。当初は787と同じく機体全てを新たに設計するプランも検討していたが、エンジン換装型のA320neoの受注が好調だったことから、同様のアプローチを採用した。もっとも、両社とも既存機を改良する方が開発コストを抑えることができ、機体価格に反映できる点もセールス面で無視できないメリットだ。

 エンジンは、仏スネクマと米GEの合弁会社CFMインターナショナルの新型エンジン「LEAP-1B」を採用。このエンジンはA320neoで選定できる「LEAP-1A」のボーイング向けで、737 MAXの翼端は上下に開いた形状の「アドバンスト・テクノロジー・ウイングレット」と呼ばれるものを採り入れて、燃費を向上させている。

 737 MAXシリーズの受注は3000機超で、次世代小型機はエアバスがリードしている。737最初のモデル「737-100」が初飛行したのは1967年4月9日。対するA320の初飛行は1987年2月22日。1960年代の機体をベースとした737 MAXと、1980年代のものを基にしたA320neoでは、改良する上でもA320が優位だ。

 エンジンの燃費を改善する手法の一つとして用いられるのが、空気を採り入れるファンの大型化だ。飛行機を前から見た場合、クルクルと回転しているファンがこれに当たる。A320は737と比べて当初から地上高が高く、大口径ファンのエンジンを搭載できた。一方、737は前脚を長くすることで新型エンジンに対応するなど、設計の古さから苦労の跡が見受けられる。

 機内でエアバスが売りとしているのは、ボーイング機よりも広いシート幅だ。ボーイングは17インチ(43.18cm)を標準的なシート幅としているが、エアバスは1インチ広い18インチ(45.72cm)としている。

 LCCなどで使われる高密度シート配列では、ギャレー(厨房設備)やラバトリー(化粧室)の配置を最適化することで、A320は189席(従来より9席増)、A321は240席(同20席増)を、18インチ幅のシートで実現できると訴求している。

 貨物室もA320neoと737 MAXの大きな違いだ。A320neoの扉は外開きに対し、737 MAXは内開きだ。かつては航行中に扉が誤って開かないよう内開きを採用していたが、技術の進歩で外開きでも十分な安全性を確保できるようになった。国内を飛んでいる旅客機も、多くは外開きだ。

 荷物を貨物室へ搭載する際も、A320は空港内の施設から車で運んできたコンテナをそのまま積めるのに対し、737はコンテナを積めないため、貨物室に作業者が積み換えなければならない。

 こうした細かな利便性から、A320neoが受注をリードしてきた。しかし、エアバス機とボーイング機では、パイロットの操縦資格から運航規定、整備体制とすべてが異なる。航空会社としては、機種移行コストは無視できないものであり、従来737を運航してきた会社は、その発展型である737 MAXを選定する傾向が強い。

 自動車と異なり、性能が優れていることだけが機種選定に直結しない点は、旅客機の大きな特徴と言えるだろう。それだけに両社とも、自社の新型機に乗り換えさせるためにボリュームディスカウントや割安な整備プログラムの提案など、しのぎを削っている。