限られたスペースでゆとり実現

 JALが国際線の長距離と中距離でビジネスクラスの配列を変えたのは、客層の違いが大きい。欧米の長距離路線の場合、ビジネスクラスを活用するのは業務渡航の利用者が多い。対して中距離路線は、ハワイのようなリゾート路線も含まれることから、新婚旅行など、観光客の比率も高くなる。

 業務渡航であれば、単身か会社の同僚との移動が多く、目的地までの空の旅ではそれぞれが別々に過ごしたいと思うだろう。一方、観光であれば友人や恋人同士で乗るケースも多く、機内でも会話をしたいはずだ。

 JALは既に、ホノルル線にスタッガード配列の機体を入れているが、乗客からは、隣席との距離感を縮めてほしいという要望があがっていたという。そのニーズを汲み取ったのが、今回のヘリンボーン配列というわけだ。「個」のスペースを重視するビジネス路線と、仲間との移動を楽しむリゾート路線の違いと言えるだろう。

 ビジネスクラスに今回導入される新シートは、横1列4席の1席―2席―1席配列。この中央に並ぶ2席を、カップルなどの利用にと考えている。シートを倒してベッドの状態にした際、進行方向左側席はシートが下へ、右側席は上に移動することで、V字型の交点となる足もとスペースが、上下に立体交差している。

中央の2人席。スタッガード配列と比べると、隣の席の人と話がしやすい

 このような配置にすることで、限られたスペースでもベッド長は最大約198cm、幅は最大74cmを実現した。JALが777-300ERに導入したスタッガード配列のシートでは、ベッド長は最大でも約188cm、幅も最大約65cmだったので、新シートの方がゆとりはある。

寝るときにはシートをフルフラットにすることができる。フルフラット時のベッドは、スタッガード配列のシートよりもゆとりがある

 中央2席の間には可動式のプライバシーパーティションも設けている。各席のプライバシーを確保するとともに、隣席と会話ができる構造になっている。JALではスタッガード配列にも、同様のパーティションを設けているが、中央席は互い違いになった3席のため、隣の人が真横にいるわけではない。

 ただ、V字型にシートを配したことで、個人用のモニターは小型化されてしまった。777-300ER用ではファーストクラスと同じ23インチだったのに対し、今回の新シートは17インチしかない。

 日本では従来、ビジネスクラスのフルフラットシートと言えば、スタッガード配列が標準的だった。日本人にとって目新しいヘリンボーン配列は、どう評価されるだろうか。