連休前夜の深夜便の実態とは

 スターフライヤーは1990年代の規制緩和で誕生した新規航空会社と呼ばれる中堅航空会社で北九州空港に拠点を置く。小型機のエアバスA320型機を使っているが、LCC(格安航空会社)のように1機に180席も詰め込まず、座席の前後の間隔をゆったりさせて150席にとどめている。シートも革張りで、LCCより高級感があるのが特徴だ。

スターフライヤーのシート。革張りで高級感がある
スターフライヤーのシート。革張りで高級感がある

 黒を基調にした機体デザインや内装、ロゴマークは、ロボットデザイナーの松井龍哉氏が担当。10年前の就航当初からタリーズコーヒーのコーヒーを無料でサービスするなど、こだわりを前面に打ち出したスターフライヤーの存在は、国内でも非常に珍しかった。

 そのスターフライヤーが近ごろ注力しているのが北九州発着の深夜便だ。2015年9月のシルバーウィークに初めて臨時の深夜便を飛ばしている。連休前日の最終便や連休初日の始発が満席近くなることから、深夜便の需要があると判断したという。

 地元のバス会社は、北九州空港と福岡市内を結ぶ深夜早朝バスを用意している。所要時間は最短1時間30分程度。このバスが、今回乗る深夜便の出発時刻に合わせて 走っていればと期待したのだが、残念ながら臨時バスはなし。そこで福岡空港から地下鉄でJR博多駅に向かい、山陽新幹線で小倉へ出て、小倉から北九州空港行きの直行バスに乗った。

 運賃と所要時間は福岡空港から小倉までが片道2370円で約30分、直行バスが620円で約35分。乗り継ぎ時間も含めると、およそ1時間30分以内といったところだ。福岡空港から羽田へ向かうよりは2990円余計にかかるが、それでも翌朝までに帰京できることを考えると、支払う価値はあるだろう。

 北九州空港には夜10時すぎに到着。空港内のレストランはすでに閉店しており、空港内のコンビニで夜食を調達。深夜の臨時便ゆえ、レストランが開いていないのは仕方ない。コンビニがあれば大半の人は用が足りるので、レストランが閉まっていることには、さほど不満を感じなかった。

 出発10分前の夜11時20分ごろから搭乗が始まった。乗客数は定員の3分の1ほどの50人前後で、家族連れの姿もあった。深夜便でもドリンクサービスは通常通りある。乗客がまばらな以外は、普段通りの機内だった。

北九州空港の売店も当然ながら閉店している
北九州空港の売店も当然ながら閉店している

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