バニラエアの前身はセクシー系LCC
一方のバニラエアは、アジア最大のLCCであるマレーシアのエアアジアグループと、ANAHDが合弁で設立した、旧エアアジア・ジャパンが前身だ(エアアジア・ジャパン初便就航の様子はこちら「セクシー系航空会社、エアアジア・ジャパンに乗ってきた」)。
2012年8月に就航した同社は、予約システムの煩雑さなどで支持を得られず、初便就航からわずか1年2カ月後の2013年10月には運航を終えた。その後、ANAHDが100%出資するLCC「バニラエア」として、同年12月20日に再出発したのだ。
路線網は国内線5路線、国際線7路線の計12路線。3月18日には関西〜函館線を、夏ダイヤが始まる3月26日からは関西〜奄美大島線を、それぞれ1日1往復で開設する。奄美大島と函館は既に成田からも就航しているバニラの単独路線で、成田〜函館線は、1978年5月20日の成田開港以来、初の路線となった。
機材はピーチと同じく、1クラス180席仕様のA320。2016年度は12機体制で、2017年度は15機に増やし、2020年度末までに25機体制を構築する。
2016年3月期通期決算は黒字転換を果たしたが、今期は成田〜台北線の競争激化などによって、4〜6月期に営業損益が赤字に転落している。通期では黒字化を目指すが、ピーチと比べると、今なお厳しい状況が続いている。
このように、ANAHDは、成立過程やコンセプトの異なるLCCをグループ内に2社抱えることになる。2年前の2015年4月、ANAHDの片野坂真哉社長は、グループのLCC戦略について、筆者のインタビューにこう応じていた。
「両社は同じ飛行機(A320)を使っているので、一緒になることもできる。今後一緒になる可能性がないわけではない」
ANAHDは、今回のピーチ子会社化を経て、ゆくゆくはピーチとバニラエアの統合も検討しているのではないだろうか。
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