ピーチは成田より海外の拠点化を先行?

 では、国内LCCの「勝ち組」とも言えるピーチはどうか。

 冒頭に述べたように、関空を拠点とするピーチは、その後那覇を拠点化し、現在は2017年の仙台の拠点化を目指している。一方で成田については、拠点化の具体的な時期を表明していない。

 ピーチは2013年10月27日、初の首都圏乗り入れとなる関空~成田線を開設。2015年3月29日には、成田の拠点化を視野に成田~福岡線と札幌線を新設した。また、今年2月20日には、成田~那覇線を開設している。

 成田を起点に考えると、関空と福岡、札幌、那覇へ路線を展開している。しかし、ピーチは成田に機材を夜間駐機していない。あくまでも折り返し運航をしているに過ぎないのだ。今回開設した那覇線も、第2拠点である那覇から成田へ到着する路線だ。このため、厳密言うと「那覇~成田線」になる。

 成田の拠点化が進んでいない理由の一つが、LCCが就航するうえで課題となる、夜11時から翌朝6時までは原則として離着陸できない「カーフュー(離発着制限)」の存在だ。機材の稼働率が収益性を大きく左右するLCCにとって、死活問題とも言えるものだ。それゆえ、首都圏という日本最大の市場に乗り込みつつも、折り返し運航に留めているというわけだ。

 「我々は国内線や国際線といった区別をしない。A320で飛べる片道4時間という距離を重視している」。井上慎一CEO(最高経営責任者)は2012年の就航以来、路線計画を尋ねられると、必ずこう答えてきた。ピーチにとって、国内に飛ばすか、海外に飛ばすかに、大きな違いはほとんどない。需要が見込め、機材稼働率を高められる路線であるかどうかが何よりも重要なのだ。

 そうなると、今度は台北やソウルの拠点化という検討課題が出てくる。井上CEOは、台湾の地元紙によるLCC好感度調査で、ピーチが1位を獲得したことを明かしている。この調査では、2位がジェットスターグループ、3位がバニラエアだったという。

 ソウルについても、日韓関係の悪化で大手2社が運航するソウル路線の需要が冷え込む中、ピーチは堅調のようだ。今年2月6日からは、羽田発着の2路線目としてソウル線を開設した。台北線に続く羽田路線としてソウルを選んだことからも自信がうかがえる。これは日本からのアウトバウンドが見込めなくても、ソウルからのインバウンドは好調という実情に沿ったものだ。

 ピーチが路線を拡大していくうえで、ひょっとすると成田よりも海外の方が、拠点化の話が先にまとまるかもしれない。これが首都圏空港の一翼を担う成田にとって、本当に良い状況なのかは気がかりなところだ。

次ページ グループ展開の強み生かすジェットスター