台北拠点化で勝負をかけるバニラ

 2016年3月期の通期黒字化を目指すバニラは、2013年12月就航。同社はANAとアジア最大のLCCであるエアアジアが合弁で設立した、旧エアアジア・ジャパン(2012年8月就航)が前身で、合弁解消後にANAの100%子会社として再スタートした。

 バニラが現在運航する路線は、国内線が成田~那覇線と札幌線、奄美大島線の3路線、国際線は成田~台北線と香港線、高雄線の3路線。リゾート需要が見込める計6路線を、8機のA320(1クラス180席)で運航している。

 同社は早ければこのゴールデンウィーク前にも、関空から台北へ就航する。同じくANAが出資するピーチや、地元台湾のLCCも就航する競争が激しい路線で、勝負に出る。まずは夏場の繁忙期から、利用者の獲得を狙う。

台湾の拠点化に踏み切る予定のバニラ・エア
台湾の拠点化に踏み切る予定のバニラ・エア

 そして、就航先の台北を早期に拠点化し、日本からの以遠権を行使して、東南アジアや中国本土への路線展開を図る。

 A320の航続距離は片道4時間程度。成田からは約5時間の香港が限界で、6時間かかるベトナムのハノイや、約7時間のタイのバンコク、8時間弱のシンガポールは就航が難しい。台北を拠点化することで、需要が見込めるこれらの都市へも飛ばせるようになる。

 就航当初からバニラが検討しているグアムやサイパン、フィリピン、ミクロネシアなど、全日本空輸(ANA)の未就航地やリゾート路線を展開していくうえで、台北拠点化は幅を持たせるものだ。

 バニラが国際線を拡大するのには理由がある。まずは一定の需要が見込める就航地は、国内では札幌や福岡に限られること。また国内の地方都市に新規就航する場合は、市場規模に加えて自治体などの支援が見込めるという条件も考えなくてはならない。そうなると、現実的に就航できる地方都市はかなり限定されてしまう。奄美大島線も、補助金を活用した路線だ。

成田空港に留まるバニラの機体。飛行機の数も順次、増えている
成田空港に留まるバニラの機体。飛行機の数も順次、増えている

 バニラの機材計画は当初、2015年度には10機のA320を導入予定だった。就航時に苦戦が続いたことから黒字化を優先してきたが、2016年度から受領を再開する。2016年度はA320を4機から5機増やす計画で、関空就航前の今年4月に新造機の9号機、この秋には10号機を受領。2020年度末には約25機体制を構築する。

 こうした路線展開や機材計画により、2020年度の売上高は、2015年度見通しの230億円と比べて約3倍となる710億円を目指す。

 一方で、課題となるのは台北拠点化が成功するかだ。

 バニラは既に台北でコールセンターを開設するなどして、台湾での需要開拓に力を入れている。国内の航空会社幹部は「台北を拠点化しても需要がついてくるのか」と疑問視するが、バニラとしては営業活動とセットで拠点化を進めることで、売上増につなげたい考えだ。

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