LCC(格安航空会社)で日本から海外に向かう、と聞けば、皆さんはどんな都市を思い浮かべるだろうか。日本国内でLCCが就航を始めた2012年であれば韓国のソウル、日韓関係が悪化した後は台北、少し足を伸ばして香港と考える人が多いのではないだろうか。

 実際、成田国際空港や関西国際空港といった国内LCCの拠点から、飛行機が飛べる片道4時間程度のフライトだと、自然と就航先は決まってくる。日本人に人気の高いリゾートのハワイや米国西海岸は片道7時間以上で、LCCの空白地帯と言える。

 「LCCはハワイに1社も飛んでいない。インバウンド(訪日観光客)をアジアから呼び込み、アウトバウンド(日本からの渡航)では太平洋を目指す」。こうぶち上げたのは、エアアジア・ジャパンの井手隆司会長だ。スカイマーク会長を退任後、2015年12月に同社の経営陣に加わった。

再び日本市場に挑戦するエアアジア・ジャパン(撮影:吉川 忠行、ほかも同じ)

 エアアジア・ジャパンは当初、2015年6月ごろの就航を予定していた。ところが、訪日需要の取り込みに絞った戦略に変えたことや、国内線と国際線を同時就航させる計画に変更したことなどで、就航予定は2016年4月にずれ込んだ。そして、2015年12月には経営体制が変わった。

 前述の発言は、中部国際空港(セントレア)の第2滑走路実現に向けて活動する、愛知県などの自治体と経済団体で構成する地元団体による講演会でのもの。井手会長にとって、エアアジア・ジャパンに加わった後、初めての表舞台だった。

スカイマークの会長から、エアアジア・ジャパンの会長になった井手隆司氏

 アジア最大のLCCであるエアアジアは、2012年8月にエアアジア・ジャパンとして、日本市場に進出。全日本空輸(ANA)と組んで挑んだが、両社の思惑の違いや予約システムの使いづらさなど、さまざまな問題で2013年10月に撤退を余儀なくされた(エアアジア・ジャパンはバニラエアに社名を変更。ANAの100%子会社としてLCCの運航を続けるも、エアアジアは撤退)。

 その後、楽天などをパートナーに迎え、日本市場への再参入を目指しているのが、今の新生エアアジア・ジャパンだ。体制の立て直しに伴い、就航時期は再び延期となり、2016年7月下旬から8月を見込む。

 井手会長は経営破綻したスカイマークの旧経営陣の一人として、ANAや日本航空(JAL)とは距離を置いた第三極の存続にこだわった。そして2015年9月にスカイマーク会長を退任し、エアアジア・ジャパンの経営に参画した。

 2度目の日本参入となるエアアジア。新体制では、どのようなLCCになるのだろうか。そして、大手航空会社とはどう戦うのだろうか。