メーカー集約が不可欠

 ひとつは、重工メーカーとしての総合力だ。2017年1月にMRJの納期延期を発表した際、宮永社長は「完成機メーカーが持っていない技術を追求したい」と述べた。「完成機メーカーは複合材やアルミ、チタンなどの材料技術を持っていない。合金技術や複合材技術、その組み合わせ方などを駆使して差別化したい」(宮永社長)というように、素材レベルでの差別化は、参入障壁を高める上で、重要性を増してくるだろう。

 もう一つは三菱重工だけではなく、日本の航空産業としての長期的な課題だ。日本では重工各社が機体メーカーとなり、バラバラにビジネスを進めている。しかし、世界的に機体メーカーはほぼ1国当たり1社に集約されつつあり、民間機と軍用機も同じグループ内にまとまっている。

 戦後初の国産旅客機であるYS-11型機は、半民半官の企業である日本航空機製造(日航製)が開発したものだ。商業的には成功しなかったが、オールジャパンの組織形態は、今後の航空ビジネスを模索していく上で、参考にすべきものだ。

 この際、経済産業省が当時の通商産業省のように関与すべきなのかは議論が必要だ。また、日航製でありがちだった、寄り合い所帯ゆえの責任の所在がうやむやになりがちな点も、見直しが不可欠である。

 しかし、本格的に完成機を海外へ売り込むのであれば、セールスやサポートなどのワンストップ化は、避けては通れないのが航空業界の世界的な流れだ。どこかのタイミングで、「新日本航空機製造」を実現しなければならなくなるだろう。

 つまり、ある国が航空機に関する商談をここへ持ち込めば、1つのグループが対応してくれる。そして民間機の話から軍用機に、あるいはその逆でビジネスが拡大していく可能性がある。日本も、川崎重工業が手掛ける輸送機C-2や哨戒機P-1、新明和工業の飛行艇US-2と、国産の自衛隊機がある。これらを輸出しようとしても、民間側には統一組織が存在しない。

 かつて川崎重工が最終的に開発したC-1輸送機は、日航製で開発がスタートしたものだった。まずは顧客に対する窓口統一からでも始めない限り、実質的には国策企業である各国の機体メーカーと渡り合うことには、限界がある。

 航空ショーで毎回見かける、重工メーカーのやる気のない出展ブースを見る限り、日本が航空分野を本気で成長産業に位置づけているとは、到底思えない。

 次の国際的な勝負の場は、7月にロンドン近郊で開かれるファンボロー航空ショーだ。2大航空ショーで、日本企業の本気度が海外に伝わるのか、しっかりと報じていきたい。