顧客の声受け改良するエンブラエル

 MRJにとって最大のライバルとなる、エンブラエルが開発中の「E2シリーズ」は、E175-E2(1クラス88席)とE190-E2(106席)、E195-E2(146席)の3機種で構成。現行のエンブラエル170(E170)とE175、E190、E195で構成する「Eジェット」の後継機で、エンジンはMRJと同じ、低燃費・低騒音が売りのプラット・アンド・ホイットニー製新型エンジンを採用している。

 Eジェットは、国内では、日本航空(JAL)のグループ会社で地方路線を担うジェイエアと、鈴与グループのフジドリームエアラインズ(FDA)が導入している。E2を発注した国内の航空会社はないが、FDAの鈴木与平会長はE2を「いい飛行機だ」と高く評価。今回のシンガポールショーでは、その評価の一面がみられた。

エンブラエルはシンガポールを意識して、機首に虎を描いた

 エンブラエルは、リージョナルジェット機では一強に近い状況が続いていたので、MRJの動向は警戒しているようだ。今回メディア向けの説明会では、既存機の顧客から寄せられた声を生かし、改良を加えたことをアピールしていた。

 MRJと同じ低燃費や高い環境性能だけではなく、改良点を強調していたのは印象的だった。なぜならば、リージョナルジェットを運航する航空会社は小規模なところが多く、空港も十分な設備が整っていない場合がある。さらに言えば、機体をけん引する係員も、日本のように体系的な教育を受けているとは限らない。

 エンブラエルは単に性能を向上させただけではなく、いかに整備が発生しても短時間に復帰させられるかに注力して、E2を開発しているようだ。そうした設計思想が伝わる説明であった。

 一方で、MRJは現行機がない点がメリットにもなる。現行機の仕様にとらわれることなく、ゼロベースで仕様を決められる点だ。三菱航空機も、この点をアピールしているという。

 宮永社長が触れたように、航空機ビジネスは数十年規模のものだ。そうした中で、MRJは今、ライバルとの戦いに苦戦している。ボーイングとエンブラエルとの提携が強固なものになれば、さらに厳しい戦いを強いられるのは、想像に難くない。

 今後日本が完成機で勝負していくためには、まずはMRJをスケジュール通り、世に出すことが必要だ。そして、MRJは一定のタイミングで見切りをつけ、次世代機のビジョンを顧客に打ち出さなければならない。航空需要の拡大が続くなか、MRJは胴体を大幅に伸ばすことが難しく、ライバルと競い続ける際に障害となり得るからだ。

 つまり、エンブラエルのE2シリーズの後継機が狙う市場も視野に入れた計画を、早期に立ち上げることだ。この際に重要なことが2つある。