ニッチなニーズ開拓で新ビジネスを

 一方、JALは流通大手イオンの系列であるイオンペットとツアーを実施。「ワンワンJET鹿児島」と名付け、1月に2泊3日で成田~鹿児島間のチャーター便を飛ばした。ANAと同様、乗務員は動物やイヌが好きな人を中心に編成した。

 ツアー代金は、4人1室利用で1人14万8000円。鹿児島到着後は、イヌも一緒に乗れるレンタカーで宿泊先まで移動。鹿児島県霧島市内のホテルなどに宿泊した。参加した犬種は、トイプードルやチワワ、ジャックラッセルテリアなどだった。

 機内には、ANA便と同じく獣医が同乗。不測の事態に備えた。運航を終えた機材は、隅々まで清掃後、定期便の運航に戻した。動物の毛などにアレルギーがある人もいる。飛行機にはこうした不特定多数の人が乗るため、イヌなどの動物を乗せた後には、こうしたオペレーションが欠かせない。

機内に入るまでは原則、ケージに入れられて移動する
機内にはペット用のコスチュームも用意。ツルのマークが付いたJALの客室乗務員のような洋服を、愛犬に着せて、記念撮影することもできる
愛犬を膝の上に乗せる乗客。イヌも飼い主も一緒にすごすことができ、終始、リラックスした表情だった
客室乗務員とペットが一緒に記念撮影をすることも
イオンペットの獣医師も同行。気圧の変化で体調を崩すイヌもいるので、獣医が同乗することで安心する飼い主も多いはずだ
ツアーで用意した宿泊先の客室には、愛犬用の露天風呂まで用意されていた

 ではなぜ、JALもペットと飛ぶツアーを売り出したのか。「イヌやネコの飼育頭数が14歳未満の人口を上回るというデータもあり、ペット市場に潜在的需要が十分あると考えている。通常、ペットは貨物室でお預かりしているが、不安を抱くお客さまも多い」(JAL広報)。ペット市場を一つの商機と見ているのだ。

 JALがイヌを選んだのも、要望の多さや宿泊先の施設の充実度が大きかったためだ。両社に共通して乗客に評判が良かったのは、獣医が同乗していた点だ。「お客さまの安心感にもつながった」(JAL広報)といい、人間だけを乗せるのとは違った視点によるツアーの企画が、満足度向上のカギになるようだ。

 ツアーを実施するには、何かとハードルの高い、飼い主とペットの同乗フライト。だが毎年、元日に各社が飛ばす初日の出フライトと同じように根強い強いニーズがあるのも事実だ。

 国内線では大きな需要拡大が見込めない中、航空会社が成長性を確保する上で、国際線進出に加えて、こうしたニッチな需要を掘り起こすことも重要になる。オペレーション側の負担を軽減しながら、継続的に実現することができるかどうかが、新たな需要を掘り起こすためのカギとなりそうだ。