5度目の納入延期が1月23日に正式発表された、三菱重工業が製造する国産初のジェット旅客機「MRJ」。

 戦後初の国産旅客機である日本航空機製造(日航製)のYS-11型機以来、約半世紀ぶりの旅客機開発となり、難しい舵取りが続いている。2008年の開発開始から幾度となく納入延期が示されてきたため、今回の納入延期の発表についても、「またか」と感じた人が多かったのではないだろうか。

1月23日に、5度目の納入延期が発表されたMRJ(撮影:吉川 忠行、ほかも同じ)

 ただ航空機開発に遅延はつきものだ。

 日本企業が機体構造部位の35%を製造するボーイング787型機は、北京オリンピックが開催された2008年の納入開始を当初予定していたが、開発は遅れに遅れ、3年後の2011年8月にローンチカスタマーである全日本空輸(ANA)へ引き渡された。

 MRJも、ローンチカスタマーはANA。2008年3月に発注し、2013年の納入開始を予定していた。国際線と国内線双方に投入する787とは異なり、MRJは地方都市間を結ぶ「リージョナルジェット機」と呼ばれる機材。このため、ANAにとって787に比べれば、影響はまだ限定的とされる。しかし、それでも航空会社にとって、航空機は人材に次ぐ資産であり、導入の遅れはさまざまな分野に影響を及ぼす。

 航空を今後の成長産業に位置づける政府にとって、航空機の開発製造をどのような体制で進めていくのがベストなのかを、MRJの開発遅延を契機に考え直す時期が訪れた、とも言えるだろう。

 MRJをはじめとするリージョナルジェット機の市場は、既にブラジルのエンブラエルが世界シェアの半数以上を握っている。三菱重工の子会社でMRJを開発する三菱航空機は、このエンブラエルとシェアを二分していきたい考えだ。

 前回の納期見直し発表から、わずか1年で、再び発表された納入延期。この間にも、最大のライバルであるエンブラエルは、新型機の開発を着々と進めている。果たしてMRJは、無事に市場に投入できるのだろうか。そして、日本の航空機業界は、今の状態のままで問題ないのだろうか。