天草と鹿児島で連携

 冒頭で触れたように、天草エアラインは鹿児島を拠点とするJACと連携している。実はJACもATR機を導入するのだ。JACは2015年6月、パリ航空ショーでATR42-600を8機発注した。2017年から現有機を置き換えていく。

 この機体は座席数も天草エアラインと同じ48席。JACは1983年、JALが60%、鹿児島県の奄美群島12市町村が40%出資して設立された航空会社で、自治体が出資している点は天草と共通する。

 両社はすでに連携を始めており、JACからパイロット3人と整備士2人が天草エアラインに出向している。パイロットが機種移行する際、2機種同時に運航することができない。このため、ボンバルディア機からATR機へ移行する際は、以前の機材を運航できなくなってしまう。

 天草エアラインでは8人のパイロットがATR機を操縦することになるが、まず5人とJACの3人が訓練を受け、残り3人がJACのパイロットと入れ替わる形で訓練に入る。こうすることで、天草~福岡線だけではあるが、運航を継続できている。

 吉村社長は「このスキームがなければ、長期運休をせざるを得なかった」と、JACとの連携が果たした役割の大きさを評価する。JACにとっても、自社パイロットや整備士の訓練を始められることになり、ATR機の導入を円滑に進められるメリットがある。

 両社は今後、部品の共同保有によるコスト削減などを検討していく。連携が深まれば、天草エアラインの機体が大がかりな整備に入る際、JACが代替機を出すといった取り組みも視野に入る。「お互いに使える共通機材や、JACにスタンバイ機がある時期に我々が重整備を行うなどを検討している」と、吉村社長も前向きだ。

 そして、2015年4月1日から天草エアラインはJALとのコードシェアを、同社が運航する3路線全便で始めた。割当数は非公開だが、JAL便として乗ればマイルや搭乗実績もカウントされるため、JALユーザーへの利用促進も見込める。また、座席数が9席増えて48席になったことで、団体客への売り込みも積極的に取り組んでいく。

 地方路線といえば、とかく赤字で乗客が乗っていないイメージがある。しかし天草エアラインは社員が一丸となって、会社や地域をより良いものにしていこうと奮闘している。

到着した2代目みぞか号を清掃する私服姿の客室乗務員

 1月7日に2代目みぞか号が空港に到着した時も、先ほど制服姿で機体を出迎えた客室乗務員が、いつの間にか私服に着替えてモップやスポンジを手に、機体清掃に参加していた。その後は再び制服を着用し、安全祈願祭の来賓を出迎えたりしていた。

横断幕を手に2代目みぞか号ATR42-600を出迎える天草エアラインの客室乗務員ら

 経営効率化は大手でも重要課題だが、体力が弱い航空会社には切実なもの。今回の両社の取り組みは、今後の地方路線維持のためにも成功してほしいものだ。