昨年末、大手航空会社では恒例となった、ある行事が開催された。空港の地上係員(グランドスタッフ)の接客スキルを競うコンテストだ。近年は搭乗手続きの自動化が進み、国内線ではチェックインカウンターに立ち寄らない利用者も増えている。一方で、旅に不慣れな人や、身体の不自由な人にとって、空港を知り尽くした係員は貴重な存在となる。
全日本空輸(ANA)は2008年度から、「空港カスタマーサービス スキルコンテスト」をスタート。日本航空(JAL)は、約10年前に成田空港を皮切りにスタートしたアナウンス技術コンテストを発展させる形で、訓練施設が整った2012年度から、「空港サービスのプロフェッショナルコンテスト」を始めている。
2016年度でANAのコンテストは9回目、JALは5回目を迎えた。このほかにもANAでは、予約案内やマイレージの問い合わせを受けるグループ会社で、電話応対力を競うコンテストを2003年から開催しており、14回を数えている。
今では両社とも、地上係員のほかにも、ANAでは客室乗務員の、JALでは整備士などのスキルを競う大会を開いており、それぞれの社員のスキルアップの目標となっている。
両社とも、もともとは各部署のイベントとして開いていたものを、全社での取り組みに発展させてきた。10年近い歴史を持つ地上係員のコンテストは、どのようなスキルを中心に審査し、どういう成果をもたらしているのだろうか。
ここ数年、地上係員のコンテストをJALは11月、ANAは12月に開催している。航空会社が最も忙しいのは夏休み期間で、年度末も何かと空港は混雑する。ANAでは5回目まで、このコンテストを3月に開催していたが、6回目からは年末年始の混雑期前の12月上旬に移した。
JALは11月15日に20116年度の本選を開催。国内空港部門9人と海外空港部門3人に分けて審査し、国内部門は羽田で国際線を担当する町野玲奈さんが、海外部門はソウル・金浦空港の金健東(キム・グォンドン)さんが優勝した。


次のページでは、まずJALのコンテストの様子からレポートしよう。
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