少し過激な言い方をすれば、お客さんはえこひいきしていいのです。ただし、誰をえこひいきするかを間違えてはいけません。ですから、データにはこだわります。データのメリットは、人間の思い込みを防いでくれる点です。

 データを取らずにお得意さんが誰か判断すると、大きな間違いをすることがあります。お客さんの着ている服が高そう、住んでいる家が豪邸、たまたま話が合ったから印象が強い、直前に高額の買い物をしてくれた━━。こんな主観に捉われがちです。データで客観的な特徴をつかんで、思い込みを排除することが重要です。

「お客さんをヤマグチ色に染めることがお得意さんになってもらう秘訣」と語る山口社長

お客さんをヤマグチ色に染める

 実際、A1のお客さんの中には、築50年くらいの一戸建てに住んでいて服装もどちらかといえば地味、外で派手に遊ぶわけでもない。そんな人が大勢います。それでも、旦那さんが定年退職して年金生活に入っていて、そこそこ蓄えがあるので、ヤマグチのサービスが信頼できると分かれば、立て続けに高額家電を買うケースがあるのです。

 反対に豪邸に住んでいても、C3から外れる人もいます。見た目に惑わされず、データで冷静にお得意さんが誰かを見極める。その上で、徹底的にえこひいきする戦略が小さな会社が地域で生き残るには必要です。

 こうしたヤマグチの方針は、買ってもらいたいお客さんを選んでいるともいえます。これを私は「お客さんをヤマグチ色に染める」と表現しています。値段が多少高くても、サービスがきちんとしていれば繰り返し購入してくれるお客さんに絞って商売をする。その割り切りと覚悟が大切です。

(この記事は日経BP社『「脱・値引き」営業』を基に再編集しました。構成:久保俊介、編集:日経トップリーダー

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