「訪問営業担当者がお客さんの情報を収集しきれないケースが増えてきた」と語る山口社長(写真:菊池一郎)

 もちろん、社員は、お客さんの自宅を訪問しながら情報収集し、顧客台帳の更新を欠かしません。しかし、1人当たり500世帯弱も担当していると、どうしても情報に抜けや漏れが出てくる。お得意さんだと思っていたら、いつも留守。近所の別のお客さんにそれとなく聞いたら、入院していたといったことが起きています。もっと早く情報収集できていれば、留守宅に何度も押し掛けるような失礼なことは防げたはずです。

普通のお客を減らして熱烈なファンと向き合う

 これが400世帯弱になれば、もっときめ細かく対応できます。1軒1軒、これまで以上に丁寧に接客し、好みの家電や商品の購入時期、ヤマグチで買ったのか、他社で買ったのか、さらには家族構成や趣味といったことまで、より詳しく情報収集できる。そうすれば、お客さんが望むサービスをより手厚く提供でき、家電をヤマグチで買ってもらえるようになる。この好循環をつくりたいと考えたのです。

 100人のお客より1人の熱烈なファン。これを生み出せば、お客さんの数が減っても、むしろ利益率は増えます。

 とはいえ、20年もたつと、ヤマグチでさえ、お客さんを減らすのを恐れる社員が出てきます。かつてお客さんを大幅に減らした後に入社してきた若手は、成功体験がありません。だから、思い切ってお客さんを「捨てる」ことに迷いがあるのです。そこは私やベテラン社員が、以前の成功体験を話し、「まずやってみよう。結果が付いてくるから」と説得しています。

 現在、まだ取り組みの途中なので、効果測定はこれからです。しかし、社員の間からは、「お得意さんの家に行ったとき、次のアポイントを気にせず、腰を据えて会話ができるようになった」といった声が出ています。