よくよく話を聞いてみると、理由は非常に単純でした。商品の値引きをしていたのです。場合によっては、お客さんから「まけてよ」と頼まれたわけでもないのに、「これくらいまでは勉強できます」と言って、店側が自主的に値引きを提案していました。これでは儲かるものも儲かりません。

 それでも、手元に最終利益がある程度残るなら問題ありません。ところが、実際はそうなっていない。経営者自身の報酬を削って値引きの原資をひねり出したりしている。ある店では、経営者である夫婦2人の報酬が合計で月50万円しかない。これでは、経営リスクの割にあまりに報酬が少なすぎる。経営を続けていく希望が見えなくなってしまいます。

「役員報酬を削って値引きの原資をしている販売店があって驚いた」と語る山口社長(写真:菊池一郎)

 こうした実情を知った私は「嘘だと思って値引きだけまずやめてみてください。途端に儲かるはずですから」と伝えました。それを聞いたときの他の経営者の反応は半信半疑の様子でした。しかし経験上、私には勝算があったのです。

安さ重視の顧客は町の電器屋さんにもう来ない

 そもそも、インターネット通信販売や家電量販店がこれだけ普及している中、町の電器屋さんにわざわざ足を運んでくれているお客さんは、価格を重視していません。安さにこだわるなら、とっくに来なくなっているはずですから。そうしたお客さんは価格以外の価値を求めているのです。例えば、自宅からの近さだったり、ちょっとしたサービスが助かっていたりといった具合です。

 安さを求めていないわけですから、値引きはやめて、どのようなニーズを求めているかを探ることに集中する。こうするだけで、大きく変わると考えたのです。