カード会員を増やした効果はてきめんでした。社員が集金地獄から徐々に解放され、通常の営業活動に専念できるようになったのです。与信管理や集金はカード会社が実施してくれますから、未回収の売掛金がみるみる減り、資金繰りが大幅に改善しました。

 

 こうした経験から、ヤマグチでは今でもカード会員の推移を毎日チェックしています。「販売別売上リスト」(下の画像参照)という一覧表を作成し、クレジットカード払い、現金振り込み、掛売りの推移を確認しているのです。経験則から、カード払いが60%以上であれば「異常なし」なので、合格の意味で「日の丸」を書き込んで、社員にも回覧します。反対に60%未満の場合は、×印をつけてカード払いのお客さんからの注文を増やすように奮起を促しています。

ヤマグチで毎日作成している「販売別売上リスト」。カード払いの比率が60%以上なら合格で日の丸を書き込む

カード会員を増やしたら旅行のご褒美

 さらに、毎年5月~7月には、カード会員を獲得する、通称「ゴーナナ」というキャンペーンを実施し、今でもカード払いのお客さんを増やす努力を続けています。獲得会員数の目標を決めて全社員でチャレンジし、目標を達成したら、みんなで旅行するのが恒例です。今年は目標を上回ったので、函館旅行が決まりました。

 もちろん、掛売りの撲滅は一朝一夕にはいきません。現在のように掛売りの比率が10%未満になるまでには5年くらいかかりました。それでも、長い目で見て社員にとって、会社にとってプラスになるのであれば、トップは覚悟を決めて取り組むべきだと思います。

(構成:久保俊介、編集:日経トップリーダー

値引きしないで稼げる売り方を伝授

日経BP社は、山口勉社長の著書『「脱・値引き」営業』を発刊しました。周囲を大手家電量販店に囲まれたり、店の移転を余儀なくされたりしながら、なぜ20年連続黒字を達成できたのか。値引きせずに顧客の心をつかんで商品を売るコツについて、具体的なエピソードを豊富に盛り込んで解説しています。ぜひご活用ください。詳しくはこちらから。