いかに無駄が多いか、もう分かりますよね。入金が1カ月遅れた上、値引きまでされる。その都度領収書を作り直して収入印紙を貼り直す。収入印紙1枚は安いと思うかもしれませんが、何度も、そして何人も同じようなことがあれば相当なコストになります。

 しかも、集金のために営業拠点とお客さんの家を何度も行き来するので、社員の手間と時間までかかる。意識の面でもやっかいで、社員としてはどこかで「いずれにせよ売れているから大丈夫だろう」という思いがあって集金に身が入らない。実際は、集金してはじめて売り上げになるんですが、なかなかそうなりません。もちろん、集金の間、ほかの人の家を訪れてモノを売ることもできません。

 先ほどの例だけならまだいいのですが、時には「ヤマグチさんごめんね。今月も苦しいから支払いを9月の給料日まで延ばせないかしら」と言われて、承諾してしまうケースさえありました。これではいつ入金されるかわかりませんよね。ひどい場合には月末に未回収の売掛金が2000万円ということもありました。売約、納品、代金回収。この3つがそろって、初めて「本当の売上高」になることを痛感しました。

「社員や会社にとって掛売りにプラスはない。覚悟を持って減らす努力をすべき」と語る山口社長

カード会員増にかじを切る

 「これから安売りと決別しようというときに、掛売りを撲滅しなければ、いつまでたっても収益性は高まらない。社員も営業に集中できない」。こう危機感を持った私は、知恵を絞ることにしました。クレジットカードをフル活用することにしたのです。

 当時、ちょうどパナソニックグループのカード会社が加入者を増やすキャンペーンを実施していました。そこで、これに「便乗」する形でカード会員を増やすことにしたのです。カード会員になればヤマグチ独自の特典が得られるようにしました。具体的には、当日の16時までに連絡してもらえれば買った家電を即日配送。故障の場合も同じく原則即日対応などを始めたのです。

 カード会員になってもらえば、社員は「集金地獄」から解放されます。しかも、カードをつくるには審査があるので、支払い能力があるお客さんとそうでないお客さんを区別することができます。要するに、支払い能力のないお客さんを「捨てる」ことにしたのです。