また、右上の「キャッシュバック70,000」というのは、在庫をゼロにするために途中から展開した7万円キャッシュバックの販売促進策のことを指します。

 実はこの品番は、冷蔵庫キャンペーンの対象商品として今年初めに仕入れたものの残りです。もともとキャンペーン中の1~2月に18万6800円で販売していましたが、キャンペーン終了後は25万6800円に売価を設定していました。しかし、動きが悪いので、25万6800円で販売するものの、買ってくれたらその場で差額の7万円分をキャッシュバックすることにしたのです。つまり、実質18万6800円で売ったことと同じ。しかし、収益性重視ですから18万6800円でも、粗利益率約40%はしっかり確保しています。

「最初から値引くより、キャッシュバックのほうが印象に残る」と語る山口社長

値引きよりキャッシュバックのほうが印象に残る

 最初から値引くより、キャッシュバック形式にするほうが私はプラスになると考えています。買う前に値引きをすると、お客さんはそのとき得したと思うだけでほとんど何の記憶にも残りません。ところが、買った後に一定額の現金を戻すと、お客さんに与えるインパクトが強くなるのです。

 実際、あるお客さんはキャッシュバックしたお金で夫婦水入らずの旅行ができたと大喜びしてくれました。こうなると、モノ消費からコト消費に変わります。「冷蔵庫を買ったとき、そのキャッシュバックのお金で旅行したよね」と体験とセットになるので、印象に残りやすい。その結果、ヤマグチとお客さんの結びつきがまた強くなるのです。

 在庫管理から話が少し横道にそれましたが、一見煩雑に思えることでも、ちょっとした工夫でシンプルに見える化することができます。見える化すると頭に強く記憶できるので、ぜひ試してみてください。

(構成:久保俊介、編集:日経トップリーダー

値引きしないで稼げる売り方を伝授

日経BP社は、山口勉社長の著書『「脱・値引き」営業』を発刊しました。周囲を大手家電量販店に囲まれたり、店の移転を余儀なくされたりしながら、なぜ20年連続黒字を達成できたのか。値引きせずに顧客の心をつかんで商品を売るコツについて、具体的なエピソードを豊富に盛り込んで解説しています。ぜひご活用ください。詳しくはこちらから。