東京の郊外、町田市で“稼ぐ町の電器店”として知られる「でんかのヤマグチ」。山口勉社長は、かつて煩雑を極めた倉庫と店の在庫管理をちょっとした工夫で非常に分かりやすくした。新たなシステム投資などは不要。視点を変えただけで在庫がすっきり「見える化」できる秘訣を今回は紹介する。

 在庫管理。この言葉に皆さんはどのようなイメージを持つでしょうか。「重要であることは分かっているけれど煩わしい」。こういう印象を持つ人が多いのではないでしょうか。実は何を隠そう私自身が、かつてそのようなマイナスのイメージを持っていました。

 話は25年ほど前にさかのぼります。一時、6店まで広げた店数を1店だけに減らし、経営資源を集中しました。6店が1店になったわけですから、在庫管理といえば、基本的には店のバックヤードと倉庫だけ。シンプルになったはずでした。

 ところが、話はそう簡単にはいかなかったのです。

 例えば、エアコンが店のバックヤードに3台、倉庫に7台で合計10台あったとします。夏場、気温がいきなり高くなって、Aというエアコンが急に売れ始めると、さあ大変。「店の在庫は全部売約済みなんだよ。倉庫に今エアコンA何台ある? 7台? じゃあ、次のお客さんに『今買えば、すぐ取り付けられます』と言えるよね?」。こうしたやり取りを電話でしていると、今度は外回りの訪問営業担当者から「今、エアコンAの在庫何台ある?」とまた問い合わせが入る……。もともとの在庫数を正確に把握していない社員が多かったこともあり、こうした確認作業の繰り返しで疲弊していたのです。

移転前の旧・木曽店。25年前、ヤマグチの在庫管理は煩雑を極めていた

在庫管理表を“星取表”化

 「何とかしなければ社員が倒れてしまうし、商品の売り時も逃してしまいかねない」。危機感を抱いた私は、在庫管理表を見直すことにしました。それまでは単にエアコン、洗濯機、冷蔵庫など商品カテゴリーごとに型番と卸値、売価、在庫数などを数字で書いた単純な一覧表でした。それを“星取表”化してみたのです。