それに、お客さんからすると、やっぱり「電器屋の親父」である社長が店内にいると、「社長はたいした仕事はしてないように見えるけれど、店にいるから何かあったら責任を持って対応してくれるだろう」と思ってどこか安心するんですね。私が店にいることは、お客さんとの心理的距離を縮める意味でも重要だと考えています。

商談の山場で社長が声を掛けると流れが変わる

 私が店頭に立つことは、商売上プラスに働くこともあります。例えば、社員から商品の紹介を受けていて、座って話を聞いていたお客さんが、買おうかどうか迷った末に「やっぱり今日はやめておこう」と立ち上がりそうなそぶりを見せることがあります。そんなとき「今日はわざわざお買い物に来ていただいたので、サービスで飲み物をお持ちしましたよ」と私は冗談めかして話しながらコーヒーをテーブルに運んでいきます。たったこれだけで、その場の雰囲気が変わる場合が結構あるからです。

山口社長は店員との会話の流れを変えるために顧客に声を掛けることもある

 買おうかどうか迷っているお客さんの中には「最後のひと押し」を求めている人がいます。もっと踏み込んでいえば「買うための言い訳」を探していることがあるのです。そんなとき、私が話しかけて少し背中を押してあげると「社長に声を掛けられちゃったんじゃ、買わないわけにはいかないよね」となって、その場で購入につながる場合があるわけです。