感謝祭の告知にまつわる話はまだあります。ドーナツを届けてリビングに通された訪問営業担当の社員が、ふと食卓の近くを見ると、古い12インチのテレビが置いてありました。状態を確かめると、画像の映りが悪くてお客さんが困っているとのこと。そこで、コンパクトで映りが鮮明な9万2000円の卓上テレビを提案したところ「ヤマグチさんが、わざわざドーナツを届けてくれたから買うよ」と言ってくれたのです。

「自然な流れで訪問するのがポイント」と語る山口社長

訪問営業マンがあえて自ら家電を運ぶ理由

 感謝祭のドーナツ以外にも、お客さんとの接点を増やそうと、独自の工夫をしている訪問営業担当の社員もいます。ヤマグチでは通常、商品の配送や取り付けを専門の担当者が実施します。しかし、この訪問営業の社員は、営業用の車に収まる大きさの家電であれば、あえて自ら運ぶようにしているのです。

 買ってもらった商品を持参すれば、取り付けのために必然的にお客さんの家の中に入ります。すると、商品を買ってもらったお礼の気持ちを改めて直接伝えることができるし、家電の操作方法をその場で実演しながら解説することもできます。お客さんもうれしい気持ちになりますから、会話も自然と弾んで、それがまた新しい商品の購入につながる糸口になることがあるのです。

 実際、空気清浄器を買ったお客さんの家に商品を持参し、設置した帰り際に「そういえば、延長コードが欲しいと思っていたんだわ。また近くに来たときに持ってきてもらえないかしら」と言われて、その場で次の商談が決まる。こんなことがしばしばあります。延長コードは単価が低いですが、値引きしませんから粗利益率は約50%。コツコツした積み重ねが大切なんですね。

(この記事は日経BP社『「脱・値引き」営業』を基に再編集しました。構成:久保俊介)

値引きしないで稼げる売り方を伝授

日経BP社は、山口勉社長の著書『「脱・値引き」営業』を発刊しました。周囲を大手家電量販店に囲まれたり、店の移転を余儀なくされたりしながら、なぜ20年連続黒字を達成できたのか。値引きせずに顧客の心をつかんで商品を売るコツについて、具体的なエピソードを豊富に盛り込んで解説しています。ぜひご活用ください。詳しくはこちらから。

山口社長が自ら、その経営手法を指南する「小さくても儲かる店作り“2日間”徹底講座」を6月3日(金)と4日(土)に開催します。顧客台帳や日次粗利集計表、在庫管理表など毎日使っている「生の経営資料」を紹介しながら、小さくても儲かる店づくりのノウハウを徹底解剖します。詳しくは、こちらをご覧ください。